すっかりグッドウッド名物となったT.コーサー+BMWの爆走ぶり!!
2度世界ロードレースGP500ccクラスで王者となった英雄の名を冠した「バリー・シーン・メモリアル・トロフィー」は、クラシックなグランプリバイクやクラブマンロードレーサーを用いたレースです。
そのレギュレーションは毎年ちょこちょこ変わり、今年は1955年までのGP/クラブマンレーサーで競われることになりました。なお2名1組でルマン式スタート、ピットロードオープン時にライダー交代をする・・・というルールは例年どおりでした。
土曜日のレース1は、クラシックレース界の名士であるグレン・イングリッシュと組んだジョン・マクギネスが、1953年型マンクスノートン30Mで優勝! この結果からも、現代のエンジニアリングで作られる、いわゆるレプリカマシンが登場しない今回のルールでは、オリジナルのロング・ストロークのマンクスノートンが最も戦闘力で有利なマシンであると思われました。
しかし! ドゥカティとスズキで2度SBK(世界スーパーバイク選手権)王者となったトロイ・コーサーと、1929年型!! BMW R57コンプレッサーのコンビは、戦後のGPマシン何するものぞ!! と言わんばかりのパフォーマンスを土日に発揮しました!
SBK最後の3シーズン、コーサーはBMWライダーとして活動しています。そんな縁もあり、コーサーは「バリー・シーン・メモリアル・トロフィー」をBMWで参加するのが恒例となっております。そしてその熱い走りは、このイベントの見もののひとつとして定着しています。
コーサー、続いてマシンオーナーのハーバート・シュワブの順で乗った土曜日のレース1では3位に甘んじましたが、日曜日のレース2ではシュワブ、コーサーの順で乗車。コーサーとライダーチェンジした時点では、リーダーのマクギネス+ノートンに対して17秒以上の差がありましたが、みるみるうちにその差を縮めるコーサーの激走に、観衆は大コーフンです!
第二次大戦前の古典車が、戦後の黎明期の世界GPマシンをブチ抜く!
俗に言うロングストローク500ccの単気筒マンクスの最高出力は50馬力以下くらいでしょうか? 一方BMW R57コンプレッサーはその名が示すとおり過給器(スーパーチャージャー)を備え、500ccながら約75psという当時では驚異的な大パワーを発生します。そのパワー差ならば簡単に追いつけるでしょう・・・とクラシックバイクに詳しくない方は思うかもしれませんが、コーサーの乗るBMWをひと目見れば、なんでコレでこんな走りができるの・・・!! と驚嘆するはずです!
リーフスプリング式のトレーリングアームフォーク、右ハンドチェンジ、そしてリア側はリジッドという古典的な構成のBMW R57コンプレッサーが、現代のダブルクレードルフレームの基礎を築いたスイングアーム式フェザーベッドフレームを武器に、第二次世界大戦後に成立した世界ロードレースGPでチャンピオンマシンとなったマンクスノートンを追い詰める・・・。
この信じられない光景のクライマックスは、レース終了まで残り5分ちょっとのホームストレートでした。大馬力を活かしてマクギネスのノートンをゆうゆうとパス! その瞬間にコーサーはマクギネスのお尻にタッチしますが、コーサー+BMWの圧倒の走りにマクギネスは「かなわないよ・・・」と言わんばかりに首を振るジャスチャーをするしかありませんでした・・・。
そしてレース2はこのまま、コーサー/シュワブ組が大差をつけて優勝! 2位のイングリッシュ/マクギネス組に、土曜日のレース1のリベンジを果たしました。
マクギネスとコーサーの熱戦をおさめた動画・・・そしてレース1とレース2のダイジェスト動画で、コーサーの熱い走りをぜひチェックしてください!