ハーレーダビッドソンに魅せられ、アメリカへ渡った男
ユタ州ソルトレイク市ボンネビル・スピードウェイで開かれる「ボンネビル・モーターサイクル・スピード・トライアルズ」は、干上がった湖にできる塩の平原のボンネビル・スピードウェイにて、スピードを競う記録会です。長年にわたりFIA(国際自動車連盟)やFIM(国際モーターサイクリズム連盟)の公認競技として、世界最高速度に挑む人々に親しまれた「聖地」でのイベントです。
毎年ここに通う、スピードに魅了された人たちのひとりにヒロ小磯こと、小磯博久さんがいます。横浜生まれの小磯さんはハーレーへの愛のたかまりから、大学を中退して26歳で渡米。そして現地でバイク整備技術を学び、その後はアメリカでメカニックとして大活躍している人物です。
小磯さんは昨年のボンネビルで、オープンバイク(フェアリングのないモーターサイクル)として最速の227.236mph(365.70089km/h)という好記録を残しています。そして今年、ヒロ・コイソ・レーシングはフェアリングを装着した、2006年型ハーレーダビッドソン FXD-Iをベースとするレコードブレーカーをボンネビルに持ち込みました。
目標は270mphオーバー! 小磯さんの挑戦を応援しましょう!
初日の8月27日、小磯さんの乗るレコードブレーカーは1本目の走行で219mph(約352.4km/h)、リターンで227mph(約365.3km/h)を出し、FIMレコードをなる222mph(約357.2km/h)を獲得。そして2日目には、259.951mph(418.35058km/h)を記録しました。
これは通常のモーターサイクルの乗車姿勢・・・座るタイプのハーレーダビッドソンが記録した数字としては最速のものでした! そしてGPSによる計測では、260mph!! を超える速度が記録されていたのです!
しかし、記録計測の走行のときに小磯さんのレコードブレーカーのフロントタイヤは激しく傷みだしてしまうことに・・・。またエンジントラブルにも見舞われ、復路を走ることができなかったことからFIMとAMAの公式な記録を残すことはできませんでした(往復の平均速度が、公式レコードとなるため)。
残念ながら今年はわずかな走行回数に終わってしまった小磯さんですが、トラブルを含め貴重な経験を得ることができたと前向きなコメントを残しています。なお小磯さんの目標は、1970年からのハーレーダビッドソンのファクトリー・ストリームライナーが記録した、265.492mph(427.26796km.h)を上回るレコードを樹立することです。
すべてのことを考慮すると270mphの壁を破ることも可能だと、小磯さんは自信とともに述べています。そしてそのためには、もっとハードワークしてマシンを開発しないといけない・・・と小磯さんは意気込んでいます。
今年のボンネビルで小磯さんが記録した259.951mphはその目標が夢ではなく、手の届くところにあることを証明したと言えるでしょう。来年以降も、小磯さんの挑戦に注目したいですね!
こちらは今年の小磯さんの挑戦を収録したYouTube動画です。なお映像のなかのメーターでは最高速が261mphになっていますが、レコードは計測区間1マイルの平均速度なので、259.951mphになります。