夢が拡がるハイブリッド!
クルマでハイブリッド車といえば、燃費だったり環境性能を重視して採用されるものが主流です。
でもバイクのハイブリッドシステムは、一部の超弩級スーパーカーに採用されているような「走りのためのハイブリッド」というアプローチから第一歩を踏み出しました。
ニュアンス的に言えばコレ!
HONDA NSX
ホンダが世界に誇るスーパーカーNSXに近い感覚です。
今回のPCXはジャンルとしてはシティコミューターですけど、アプローチとしてはNSX側だと言っていいと思います。
もちろんガソリンエンジン車に比べて(わずかですが)燃費性能も向上しています。
でも、その上でハイブリッドの恩恵を走りメインに振ってきた!
こういうワクワクする発想にこれぞホンダ!っていう気概を感じます。
だって、乗った瞬間に絶対に笑っちゃいますよ?
もはや150ccクラスなんじゃないかと思うパワー感なんです。
パワーモードは「D」と「S」がありますが、「S」が本当に楽しい!
スロットルオンと共に身体がグッと後ろに仰け反ろうとします。
もちろん大排気量バイクのような荒っぽいものではありませんけど、125ccクラスでそれを感じることは普通ありません。
加速するときに「おおっ!?」って思います。
125ccスクーターに乗り慣れた人ほど、このパワー感には驚くはず。
そしてこの日、他メーカーの某人気125ccスクーターと信号待ちで並んだんですが……
実話です。
その125ccスクーターはマフラーも変えてあり、いろいろカスタムがされていました。車両重量は向こうのほうが30kg以上軽いはず。
しかし、ダッシュの差は圧倒的!
時速50~60kmまでに、ざっくり車体2台分くらいの差がついてました。
子供っぽくて申し訳ないのですが……この時に感じた優越感がハンパじゃなかった!
だから、このPCXハイブリッドに乗っていると、前方がオールクリアになることが多いんです。
前にクルマがいないっていうシチュエーションは、やっぱり気分がいい。
ちなみに動力性能はエンジンが最高出力12馬力。それとは別に1.9馬力相当のモーターが走りをアシストします。
スロットルを「開ける」動作から4秒間のアシストです。
アシストは停止状態からの発進だけじゃありません。スロットル一定のクルージングからの最加速時にもアシストは入ります。
これがなんだかヒミツの加速装置っぽくて、ワクワクするんですよ(笑)
でも乱暴な印象はありませんでした。PCXの本質となるしっとりした走り感はそのまま。
あくまで大人の走りを披露してくれます。
これはスポーツカーというよりも、高級セダンの走行感覚に近いものだと思いました。
パワーの余裕=ココロの余裕
クルマの世界には「グレード」があって、同じ車種でも大きな排気量のエンジンが搭載されるモデルがあったりするのは当たり前。
このPCXハイブリッドは、それに近くて、ガソリンエンジンのPCXの上級グレードなのだろうと感じています。
それが証拠にPCXハイブリッドにはABSも搭載されています。
価格面ではスタンダードのPCXに対して約9万円のアップですけど、財布に余裕があるならPCXハイブリッド一択でしょう。
たぶん、そのほうが買った後に後悔しない。こっちを買ってよかった!と感じるのは間違いありません。
何が違うって、もちろんパワーがもたらす爽快感は当然ですけど、それ以上に「余裕」が嬉しい。
パワーがあるから、あくせくしない。気持ちにゆとりが生まれるんです。
それに、ヘッドライトの内部にブルーがあしらわれているのも純粋に美しいですし、ハイブリッドのエンブレムも神々しい。
または、シートがツートーンでブルーのステッチが採用されるなど、ちょっとしたところに質感とこだわりが感じられます。それらが明らかに「ランクが上」だと主張してきます。
こういう満足感、けっこう重要ですよね。
バイクにハイブリッド。しかも125ccのスクーターから。
最初はどうなるかと思いましたが、やっぱりホンダは面白いことやってくれます。
だって考えてみてください?
この仕組みって、やろうと思えばロードスポーツにも応用できそうじゃないですか?
そうしたらまたひとつ、バイクの常識が変わります。
新しいものに挑む、その第一歩をホンダが踏み出したぞ!っていう感覚。
なんだかPCXハイブリッドには夢があります。
ハイブリッドが生み出すパワー。そのパワーは走りを楽しくして、気持ちにゆとりをくれるだけじゃない。
この先のバイクの『夢』まで一緒に拡げてくれるんです。
だとしたら、この「パワー」は「正義」でしょう。
だってホンダですから。
「The Power of Dreams」を掲げるメーカーなんですからね!