黒人への差別が色濃く残る1961年、米ソの威信を賭けた冷戦の中、有人宇宙ロケットの打上げプロジェクトに大きな貢献をした3人の黒人女性の奮闘を描いた、実話ベースの感動作。
差別が残る60年代、最先端の科学の場で光り輝いた黒人女性たちの物語
1960年代初頭、米ソの冷戦は激化していた。その舞台は宇宙へと移り、有人宇宙飛行でソ連に先行されつつあった米国は、国力を集結してソ連に追いつき追い抜くための懸命な努力を続けていた。
進んだ科学は軍事にも必ず使われる・・・宇宙から原爆を落とされるかもしれない恐怖に駆られた米国は、NASAに命じて一刻も早く宇宙ロケットの開発を成功させなければならないと焦りを感じていたそんな中、幼少の頃から数学の天才として才能を輝かせていた黒人女性キャサリンは、親友のドロシーとメアリーと共にNASAのラングレー研究所に勤務していたが、遅々として進まないロケット開発に不可欠な計算を任せられる。また、メアリーはエンジニアへ転身、ドロシーは管理職への昇進を願い、日々のあからさまな差別に耐えつつ業務に勤しんでいた。
キング牧師が「I have a dream」と高らかに演説したのは1963年8月28日だったが、彼女たちは冷ややかであからさまな悪意と嘲笑の中でも自分たちの夢を忘れず、逆風の中自分たちなりのやり方で戦い抜いた。なんど邪魔されても、妨害されても明るさと夢を捨てることなく、立ち向かう強さを彼女たちは持っていた。
夢に向かって突き進む勇気ある黒人女性たちの献身と渾身の努力を描く。
さまざまな闘いがある中で、敢えての真っ向勝負を挑んだ女性たちの姿に感動
本作の良さは、60年代の激しい公民権運動を通して、黒人たちが完全な自由を求めて闘っていたという事実の中、文字通りの真っ向勝負というか、限りない正攻法で与えられてしかるべきな権利と見返りを勝ち取った女性たちを描いているということだ。
この頃からもちろん、黒人たちの中には(歌や踊りなどの)エンターテインメントやボクシングなどの世界で白人からの尊敬や資産を勝ち取った者はいた。また、デモやストライキなどの争議行為に訴える者も当然いた。彼らの行動の結果、黒人の人権問題が改善されていったのは事実だが、キャサリンたちは、およそ黒人には(まして女性には)無理と目されたような世界で、一つ一つの差別に向かいながら戦い、勝利した。その事実が我々をより深く感動させるのである。