最強チームのカワサキファクトリーをベースに回転数制限を設定
過去3年、SBKを支配してきたのはカワサキファクトリーとジョナサン・レイのコンビネーションでした。SBKが各チームの戦力均衡を考慮し、性能調整を行ってきたのは今回に始まったことではなく、人々のレースへの興味を失わせないための、ありふれた措置と言えるのかもしれません。
今年の回転数制限は、最強のカワサキファクトリーのZX-10RRを100%と規定し、過去の結果から他車の回転数制限を設定。そしてこの設定は3ラウンド毎の成績に応じ、さらに250rpmの制限がペナルティー的に加算されることもあります。
2気筒のドゥカティは排気量優遇1.2倍を加味すると、4気筒の14,880rpm相当の制限数になりますが、2気筒と4気筒のエンジン特性の違いから単純に数字の有利不利を語れるものではありません。
現在もっともSBKでの活躍に力を入れているカワサキとドゥカティの両ファクトリーですが、かつてカワサキはZX-10RRを15,200rpmで運用していたことを考えると、ドゥカティをはじめとするライバルたちにとって今回のルール改正は、打倒カワサキ、打倒J.レイのチャンスを後押しするものになるでしょう。
強いものが勝つ・・・それが最高峰のレース!!
先週末のSBK第2戦タイでは、カワサキとドゥカティ両ファクトリーのエース、J.レイとC.デイビスがそれぞれレース1、2で勝利を分け合うかたちとなりました。チャーン・インターナショナル・サーキットで毎年苦戦していたドゥカティファクトリーにとっては、ここタイでの勝利は大きな自信につながったことでしょう。
そして表彰台争いにはヤマハに加え、近年低迷していたホンダも割り込むようになり、ルール改変を主導したドルナの思惑どおり、しばらく混戦でランキング争いが進んでいくような気がします(なお下位チームにはパーツ採用の便宜をはかるコンセッションルールも適用されています)。
インディペンダント(プライベーター)チームのドゥカティユーザーであるシャビ・フォレスも表彰台に上がるなど、今の所ルール改正はドゥカティに有利にはたらいているとも言えるでしょう。しかし好成績を続ければさらなる回転数制限を課されるわけですから、序盤の好成績がタイトル争いを完璧に有利に進めるものでもないかもしれません・・・。
シーズン後半でさらなる回転数制限を受けることは、タイトル争いが佳境を迎えた終盤にライバルより多くのハンデを抱えることになるわけです。ですので常時戦略的に1シーズンを戦うことが、各ライダーとチームには求められることになるのです・・・。
今年のSBKに限らず、最高峰のロードレースの世界は、ルール改正や周辺技術の進化など様々な変化に即時対応をすることができる、強いライダー及びチームがタイトルを獲得することが常です。その点では、MotoGPに開発リソースを割く他メーカーよりも、SBK1本で力を入れているカワサキが今年もSBKタイトル争いの主役になるのではないでしょうか?
ともあれ、このルール変更がどのようなドラマの演出になるのか・・・今年もSBKから、目を離せません!
2018 SBK ポイントランキング(第2戦終了時)
1 J.レイ 69 KAWASAKI
2 M.メランドリ 67 DUCATI
3 X.フォレス 60 DUCATI
4 C.デイビス 57 DUCATI
5 A.ローズ 48 YAMAHA
6 M.V.D.マーク 45 YAMAHA