かつては向かうところ敵なしだった人気レーサー、ライトニング・マックィーン。しかしベテランとなった今、最新テクノロジーと最先端のトレーニング方法で台頭してきた新世代のレーサーたちに敗れ、さらに大クラッシュの憂き目に遭う。果たしてマックィーンは再起できるのか?それとも次の世代に王座を譲り、往年のスターとして第二の人生を歩むことになるのか。
ストーリー:台頭する若い世代に敗北し、自信を失っていくベテランレーサー
「カーズ」「カーズ2」では最速を誇る人気スターとしてサーキットでその雄姿を観客に魅せつけてきた人気レーサー、ライトニング・マックィーンだったが、本作では全盛期を過ぎ、緻密なデータ分析や科学的なトレーニングによって彼を遥かに超えるスピードを手に入れた新世代の若手レーサーたちに敗北し、自信と居場所を失くしつつある、悲哀に満ちた姿で描かれる。
若手レーサーたちのリーダー的存在であり、かつてのマックィーンの姿を再現したかのように圧倒的なスピードと強さを誇るジャクソン・ストームには”旧世代のレーサー””過去の存在”として嘲笑される始末である。
現役にこだわり、打倒ジャクソンを誓うマックィーンは、彼に憧れレーサーを目指すも挫折してトレーナーになったクルーズ・ラミレスを相棒に、必死にトレーニングに励むが、やればやるほどジャクソンら新世代との力の差を痛感していく・・・・
自分の衰えに向き合う勇気を持つ人たちに。
若い頃には思いもよらないだろうが、誰でも確実に歳をとり、かつてはできたことができなくなっていくし、まるで漏電したり水漏れがしているかのように力が抜けていく。
若い世代に抜き去られて、自分の衰えを自覚せざるを得ない瞬間は、どんな偉大なアスリートだろうと必ずやってくるものだ。ビジネスの場であれば(少なくとも日本国内では)年功序列という古臭いシステムに守られて、若者に力負けする瞬間を味わった経験を持つ中高年は少ないかもしれないが、実際には多くのビジネスシーンにおいて 人は30代をピークに、衰えていく一方なのだ。
本作は、そうした人生の悲哀を容赦無く感じさせる。若手の台頭に対して追いまくられながらも、マックィーンは現役にこだわり、ヒリヒリするような戦いとスピードの中で生きることを望む。しかし、同時に自分の衰えを認め、その事実に真正面から向き合っていこうとするマックィーンの姿(勇気)に、自分を重ね合わせる人も多いだろう。もしくは、それでも自分自身の衰えには目を背けようとするだろうか。そのスタンスの違いによって、本作の見方は大きく変わってくるだろう。