ノートンのロゴって、犬に見えませんか?
1907年のマン島TTで勝利(2気筒クラス)して以来、第二次大戦後の1960年代まで、英国のノートンのロードレーサーは当時の世界最高峰のレースだったTTで大活躍しました。特に1930年代はノートンの黄金時代で、「ブレースブリッジの無敵艦隊」と呼ばれるほど、幾多の勝利を手中におさめています。
ところでノートン車の燃料タンクなどに描かれた、「カーリーN」と呼ばれる特徴的なロゴなのですが、この秀逸なデザインのロゴは1914年ころから登場しています。じつはこのロゴ、ノートン創始者のジェームズ・ランズドウン・ノートンの娘の、エセルがデザインしたものと言われています。
美術を勉強していたエセルが作ったこのロゴ、じつは時代ごとに微妙に変化していっております。また頭文字「N」の部分が、首輪をした犬のテリアに似ているということがよく指摘されていますが、初期よりも後の年代のロゴのほうがより犬っぽくなっているような気がします。
オマージュとしての銀のカラーリング
さて、話をイタリアのパリラに移します。グレイハウンドをロゴマークに用いたパリラは、1946年にミラノの地に設立されたメーカーでした。
創始者のジョバンニ・パリラは1912年にスペインに生まれますが、まだ彼が幼い頃にパリラ一家はイタリアのカラブリア州に移住。青年になったジョバンニは軍に入ったのち、ミラノでディーゼル用インジェクションポンプの整備と、スパークプラグの販売のビジネスをします。
ティーンエイジャーのころからジョバンニはモーターサイクルの魅力に取り憑かれ、いつか英国車のようにマン島TTなどの国際レースで活躍するイタリア車を作るメーカーになりたい! という夢を友人に語っていました。また彼は、ノートン単気筒を駆り、モータースポーツを楽しむライダーでもありました。
なお夢をかなえてパリラを創業した後、ジョバンニ・パリラが自社のスポーツモデルやレーシングモデルに、シルバーベースに黒と赤のラインのカラーリングを用いたのは、ずばり、敬愛する先達メーカーだったノートンへのオマージュでした。
他メーカーのデザインやスタイリング、そしてカラーリングなどを単純にパクるのはお恥ずかしい話で軽蔑の対象になる行為ですが、こういう風に相手への尊敬が伝わるオマージュは、とても素敵なことに思えてきます。なお推察ですけど、多分犬についてはパリラはノートンを意識してはいないと思いますけどね・・・。
銀色のカラーリングと犬の意匠・・・ノートンとパリラにまつわるエピソードを、ちょっとイイ話風にまとめてみました(苦笑)。新年の犬ネタ? はこれにて打ち切り・・・お後がよろしいようで・・・ということにしてください?