近未来。イギリス軍の特殊部隊が向かった孤島は、実戦を想定した過酷な軍事訓練を行うための特別な施設だった。訓練に臨む特殊部隊の中には、訓練用の監視ドローンや戦闘ロボットを設計した女性技術者ミルズの姿もあった。
訓練に臨んだ彼らだったが、すぐに違和感に気づかされる。実弾は使わないはずの戦闘ロボットたちからの攻撃は明らかに殺意があり、明らかに彼らを殲滅しようという意志があったのだ。
混乱する特殊部隊のメンバーは、一人一人とロボット達の容赦ない攻撃に命を落としていく・・・。

ロボットを制御するAIが暴走し、人間を襲い始めるという”よくある”プロット

ミルズを含む特殊部隊たちは、訓練目的で製造されたはずのロボット達の暴走によって、絶体絶命の危機に陥るのだが、その理由はほぼない。単に、”なぜか”ロボットたちを制御するAIが暴走し、本来の目的から逸脱してしまう、それだけだ。
なぜそうなったのかという謎に対する説明はゼロ。そこが非常に不思議な映画である。

また、ヒロインのミルズの存在意義もよくわからない。彼女が特殊能力を持っていることは映画の冒頭で何度もしつこいくらい強調されるのだが、それが作中でなんの役にも立っていないし、伏線になっているようでもないのだ・・・。

つまりストーリーやプロットとしてはよくある話であり、登場人物達のキャラ付けもどこか曖昧で、特徴もなければ意味もない。その意味ではかなり凡庸な映画であるというほかない。
ただし、戦闘シーンを含め、映像はとても綺麗でCGも良くできている。だからこの映画をよくできたB級と呼ぶべきか、失敗した一流映画と呼ぶべきか、かなり悩むところだ。

(攻殻機動隊+ターミネーター+プレデター)÷ 8 くらいの映画

主人公と目される女性技術者ミルズは、強化ボディこそ持っていないが見つめるだけで対象物(人間含む)を検索し、データを解析できる、ネット化されたセンシングテクノロジーを備えたサイボーグ。攻殻機動隊の草薙素子や、ターミネーター3の女性ターミネーターを彷彿させる。

画像: クリスタナ・ローケン演じるT-X auctions.c.yimg.jp

クリスタナ・ローケン演じるT-X

auctions.c.yimg.jp

また、登場するロボット達の不気味な迫り方や存在感はターミネーターのそれに近い。ジャングルや廃墟での戦闘や突然の襲撃などの感じはプレデターに近いとも感じる。
よくできたSFスリラーやアクションの良いところをシャッフルしながらも、肝心のストーリーに芯がないところが、この映画の惜しいところだ。もう少しひねりがあれば面白くなったのではないかと思うのだが・・・・。

見て損したか?と言われれば、そうでもない。先述したように映像自体はリアルで戦闘シーンも緊迫感があるからだ。ただ、お金を払う価値があるか?と問われれば、NO、と答えざるを得ない。

実はこの映画の製作スタッフは『モンスターズ/地球外生命体』という映画を手がけているそうなのだが、そちらのほうもCGはすごいのに、中身はスカスカという不思議な映画(苦笑)。なんとも納得してしまう話だ。

画像: 『キル・コマンド』予告編 www.youtube.com

『キル・コマンド』予告編

www.youtube.com
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