60年前の日常は現代の発見!

画像: 在廊されていた鈴木サトシ氏。御年80歳にして益々盛ん!

在廊されていた鈴木サトシ氏。御年80歳にして益々盛ん!

先日、新宿で写真展巡りをしていたときに立ち寄ったコニカミノルタプラザで、たいへん興味深い写真展に出会えた。それは鈴木サトシ氏の「-写真道- ああ60年」。瀬戸内海の島々で撮影された作品群は、ひとりの医師の島民に対する診察の様子や日常、生徒一人に教師が一人という学校、そして島に便りを届ける郵便配達員など。謝礼代わりに島民が農産物を贈っていたり、海が荒れていて上陸できないときには便りを長い棒に括り付けて島の子供に渡す様子が記録されていたりする。

すべての始まりは『一人』に対するサービス

30年ほど前、北インドを旅していたときに宿泊したホテルでたまたま舞踊ショーが催されていて、観客が私一人だったことがある。その時は顔のやり場がないぐらいとても恥ずかしかったのだが、それでも演奏家や踊り子など5人ぐらいのパフォーマーが手を抜かずに演じてくれていたのにはプロ根性を感じたし、それはそれでいたく感激した記憶がある。
鈴木サトシ氏の作品に記録された患者、生徒、島民は、私がインドで踊り手たちに抱いた「私一人のためにサービスをしていただいて申し訳ないやら嬉しいやら…」と同じような感情を、それぞれ医師・教師・郵便配達員に対して抱いたのではないだろうか。

この写真展を見て公務員やサービス業の使命というか本質を考えたのだった。もちろん「一人の読者に向けて」という雑誌作りにも通じることだろう。

人と人との助け合い、寄り添いあいも、また。

当時の島の人々ののどかな日常なのだろうが、60年経って見ると凄いインパクトがある。実に貴重な記録だ。医者の作品は、世界最高峰の写真家集団マグナム・フォトの正会員であったユージン・スミスの代表作のひとつ「カントリー・ドクター」(1948年)を思わせるほど。現代の都会ではなかなか見かけないような、人と人との助け合い、関わり合いも、また考えさせてくれます。
カメラって、写真ってすごいですね。この写真展、オススメです。

「早いもので、写真の道に入り、アッと言う間に60年が過ぎてしまいました。最近80歳になり、時間も出来、毎日が写真三昧で、幸せな日々を送っています。暇を見ては、未発表の写真の整理を行っています~HPより」(鈴木サトシ)

●モノクロ A3ノビ 約33点
●コニカミノルタプラザ 東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F
●12月5日まで 開館時間:10時半~19時

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