MotoGPのレギュレーション変更が生んだ珍事!?
レイがSBK仕様のカワサキZX-10Rに乗って記録したタイムは、1分38.721秒。一方ヤマハのMotoGPマシン、YZR-M1でロッシが記録したポールタイムは1分39.736秒でした・・・。しかし、このタイム差を見て「ファクトリーのSBKマシンは、ファクトリーのMotoGPマシンとバトルできる戦闘力を有している・・・」と判断するのは早計なのでしょう。
今年からMotoGPはGPに復帰したミシュランタイヤのワンメイクとなりましたが、それまでのワンメイクタイヤだったブリヂストン最後の年、2015年にはヤマハMotoGPマシンに乗るホルヘ・ロレンソが1分37.910秒を記録しています。発展途上にあった今年のミシュランタイヤ、そして電子制御技術の抑制策(ECU共通化)が影響したことにより、MotoGPマシンの速さが低下したのが、今回のSBKとMotoGPマシンのタイムの逆転に結びついたのでしょう。
しかし、SBKマシンの実力も侮れないですね!
今回のSBK、MotoGP合同テストは、MotoGP側はサテライト系や下位に沈むファクトリーチームが参加するものの、優勝争いをする有力ファクトリーは参加していません。トップのレイに次ぐ2位はアルバロ・バウティスタ(ドゥカティMotoGPマシン)でしたが、3位はSBK終盤戦で勝ちまくったドゥカティSBKファクトリーのチャズ・デイビスがつけました。
4位はロリス・バズ(ドゥカティMotoGPマシン)、5位はSBKのT.サイクス(カワサキ)という順位でした。MotoGPがミシュラン、SBKがピレリのワンメイクで、今回のテストで使用したタイヤは予選用や決勝用など各車さまざまですが、ファクトリーのSBKマシンに乗るSBKトップライダーは、MotoGPのサテライト勢相手にはひけをとらないタイムを刻める・・・のは確かなようです。
かつてMotoGPでは、1,000ccスーパースポーツベースなどのCRTマシンの参戦が認められてましたが、そのときのCRTマシンは戦闘力的にMotoGPマシンの相手には全くなりませんでした。1980年代までのロードレース界では、英国のブランズハッチやシルバーストーンなどのサーキットで、GPマシンとTT-F1などの市販車改造車がガチレースを行う機会が多くありましたが(英米対抗戦の、トランス・アトランティック・マッチなど)、今ではそういう機会はないですね・・・。
もし、SBKマシンとサテライト系MotoGPマシンが戦うレースが、昔みたいに今もあれば、それはそれでなかなか面白そうだなぁ・・・と今回の合同テストを見て思った次第です。もっとも、MotoGPライダーもSBKライダーも、それぞれのフィールドで1年間戦うのが精一杯でしょうから、彼らにとっては負担が増すだけで嫌がられるでしょうね(苦笑)。