パッキャオは、メジャー世界タイトル (WBA、WBC、IBF、WBO) 6階級制覇をした怪物(史上二人目)相手を追い回すアグレッシブな戦い方は、パッキャオという名前にかけてパックマンという異名を持つ。
母国フィリピンでは英雄扱いされており、上院議員として政治活動も行っている。知名度は群を抜いているから将来の大統領候補と言っていいかもしれない。(あの人よりはマシ?とは敢えて言わない)
2016年4月の試合を最後に引退したはずのパッキャオだが、ボクシングへの思い断ちがたしなのか、大金への欲望捨てがたしなのか、再びリングに戻ってきた。復帰戦の相手は、現WBO世界ウェルター級チャンピオンのジェシー・バルガス。甘いマスクと攻撃的なスタイルで人気上昇中の若き王者だが、下馬評ではパッキャオ有利。
試合は、第2ラウンドに、早くもパッキャオの左ストレートがバルガスの顔面を捉え、ダウンを奪うが効いてはいない。とはいえ、互いに強打を振るいながらの激しい攻防の中で、序盤のペースを握ったのは間違いなくパッキャオだ。
いつもどおり上半身を小刻みに振りながら速い踏み込みを見せるパッキャオに対して、入ってくるところに左右の打ち下ろしでのカウンターを狙うバルガス。バルガスのハンドスピードも悪くない、長いリーチを生かして距離を作り、パッキャオが遠くから飛び込んでこざるを得ない状態を作り続ける。
とはいえパッキャオは戦法を変えることはなく、リズムを取りながら踏み込んで打つ。中盤に入ってもパッキャオのスタミナは落ちないので、バルガスとしても命中率の悪いカウンターを狙い続けるほかない。パッキャオは案外打たれ弱いからだが、ときたまパッキャオの顔面にパンチを当てることはあるが、突進を止めるまでにはいかない、同じような展開が続く。
最終的にパッキャオは、長身のバルガスのカウンターを封じきり、往年のパワーの衰えは否定できないものの、攻めどころを心得た老練さと変わらぬスピードと連打でバルガスを押し切った。
復帰戦を飾ったパッキャオは、これでWBO世界ウェルター級王座を奪うことに成功した。