『GTroman』by 西風先生 より
是も非もなくワシは沢田君の車に乗り込んだ。まあ、特にやることもないし、断る理由はなかったのだ。「一体何処へ連れていく気だい?」と尋ねると、アルファ・ロメオのオーナーズ・クラブのミーティングがあるのだという。「と、するとこの車もアルファ・ロメオかね」とワシが問いかけると沢田君は嬉しそうに頷いた。
ミーティングの会場の峠に着くと、確かに多くの車が集まっていた。
どうやらアルファ・ロメオだけではなく、他の車種のオーナーズ・クラブとの合同ミーティング、ということらしい。ミーティングというから、なにかの議題を持ち寄って会議でもやるのかと思っていたのだが、それはワシの思い違いだった。登り車線(ヒルクライムというらしい)をタイムを競って走る走行会イベントがあるという。
ワシは沢田君の隣で順番を待った。安全を確保したうえでの走行会とのことだが、事故でも起こされたらたまらない。そう思ったワシは沢田君に”あまり飛ばすなよ”と釘を刺した。刺したのだが、走り出してすぐにエキサイトして飛ばせ回せと大声を出したのはワシの方だった・・。
なんと車を走らせるということが、こんなにも面白いとは・・・この歳になるまで知らなんだ。
沢田君はというと、どうもワシの知らぬ間に好きな女性に振られてしまっていたらしく、涙目になっていたが、ワシは彼を哀れに思う余裕もなく、いままさに味わった、自由に車を走らせるという喜びを自分でも試してみたいという思いでいっぱいになっていた。
息子がいないことで少々惚けていたワシだが、まだまだ老け込む年ではない、ワシも新しい趣味を見つけて人生を楽しまなければ。仕事は半人前じゃが、沢田君に教えられたよ、ありがとう沢田君。
さて。つい車に目覚めてしまったワシ。沢田君にならって少し古めの外国車を買ってしまったよ(アルファではない笑)
みなさんも、歳を取っても楽しめる趣味はあるかね??