新たな恋(Vol.1参照)にご執心の明智探偵だったが、仕事がないことには飯が食えない。ここはメンツよりカネ、だとばかりに彼は、羽振りがいい同業者Sugar探偵事務所に仕事を回してもらいに出向くことにした。
首尾よくもらえた仕事は、息子に愛車のMiniを転売されてしまった老人からの依頼で、そのMiniの行方を探して欲しい、というものだった・・・。
『GTroman STRADALE』「一寸、旧いクルマ探偵団」より。
早速Sugarに出向いた二人は、首尾よく仕事を手に入れる。
紹介料は手数料の15%だが、そこはやむをえない。仕事がないよりはまし、というものだ。
指示通りCafe ロマンに向かうと、そこに待っていたのは二人の老人。依頼人の亜土さんは、長らくMiniを保有していたが、体調不良を心配した息子に取り上げられ、オークションで売られてしまったのだという。
諦めきれず、そのクルマを取り戻したい。それが今回の依頼だった。
早速捜索にのりだした明智探偵たちは、こともなくMiniの行方を割り出し、依頼人の老人たちを連れて、出向いたのだったが、当の依頼人が浮かない顔をする・・・。
亜土さんは、愛車が自分とともに経年劣化していき、やれていくさまに、侘び寂びに似た気分を抱いていたのだが、転売された愛車は、新しい持ち主によって手を加えられ、新車のような輝きを放っていた。
(まあ、別れた彼女が整形してより美しくなっていたとしたら、同じような気分を抱くであろうか笑)
いずれにしても、依頼人はそのMiniを買い戻すことを諦め、帰っていったのである。
その二週間後、二人は買い物帰りの亜土さんと街で出くわした。驚いたことに亜土さんは新しいMiniを手に入れていたのだ。
しかし、そこに探偵は腑に落ちないものを感じる・・。
クルマは自分とともに老いていくべき。それが亜土さんの信条だったはず。
なぜ亜土さんは購入したクルマをレストアしたのか???
正解は、「最初からクルマは新品もしくは新品同様で買って、それから自分好みに一緒に老いていく、ということに美学を感じているから」 です。
一途に、考えを変えずに、自分の意思を貫いていく。亜土さんは粋な人なのですな。
そんな感想を抱いた探偵は、ふと彼女のことを思うのであった。
To be continued..