思い切りよくガードレールにドカン! しかし運転席は無人…の怪
まずは四コマ漫画みたいな紹介で恐縮ですが、かなり「痛そう」なシーンであることは、わかってもらえると思います。ひとつ言えることは、普通の人間だったら絶対に、迫り来るガードレールを前にして、ここまで冷静にステアリングをまっすぐ保持し続けるなんてことは、できないでしょう。
どんなに肝っ玉が据わっていたって、最後の最後、「カベ」に突っ込む直前には必ず、回避行動を取る=ステアリングを切ってしまうハズです。でも、このクルマを運転している「ドライバー」は、まったく躊躇なしに突っ込んでいくのでした。見ている方が胃が痛くなりそうな、衝撃映像です。
動画は、こちらからご覧いただけます。
この画像は、測定機器を中心に扱う専門商社「東陽テクニカ」(本社 東京都中央区)が、オフィシャルサイトで公開している製品PVのひとつです。題して「RTK-GPS制御ロボットによる完全自動無人走行試験」。人ではなくロボットを使う理由をひと言で言えば、「無理がきく」ということでしょうか。
実際に走ってさまざまな性能をチェックすることは、安全なクルマを作る過程で欠かせない作業です。けれど、人が運転している場合は、どうしたっていろいろ手加減せざるを得ません。それなりの速度を保ったままで壁にぶつかったり溝に突っ込んだり、では身が持つハズもなく。だからこそ、頼りにされるのがロボットなのです。
こちらの動画も痛そうです。ご覧ください。
ご紹介している画像を見てもわかるとおり、このロボットは滅多なことではへこたれません。音もあげません。上司の愚痴もこぼしません。とても素直で頑強で朴訥で勇気ある、働き者なのです。
ちなみに以前から自動車の開発現場では、感性評価の段階でもロボットが使われていたそうです。まったく同じ運転操作を何回でも繰り返すことができるロボットは、クルマを操る楽しさとか面白さまで数値化する手助けをしてくれているワケです。
思い切りアナログなハズのワクワク感とかドキドキ感といった感覚を、デジタルに落とし込むのはなんだか矛盾しているような気もします。けれど開発期間の短縮やコストの削減などに、大きなメリットが生まれることは事実。つまり私たちユーザーも、しっかり「ロボット」たちの恩恵を受けているのです。
載せ替え簡単!な新システムは、5000万円から。「着せ替え」もできませんか?
「ロボット」とは言っても、ガンダム世代が想像するような宮武調ではなく、XウイングばりにR2D2がビルトインするワケでもありません。すべての操作系は、アクチュエーターなどを使った地味で無骨な「ステアリング(を動かす)ロボット」「アクセル(を踏む)ロボット」「ブレーキ(をかける)ロボット」「ギア(を変える)ロボット」が、それぞれ分担しています。
あとは高精度のGPSと慣性計測も可能なジャイロなどで自車位置と行動を予測、あらかじめ定められた挙動を忠実に再現します。基本的に、どんなクルマにもポン付けできるのが特徴です。セットにかかる所要時間は、約2時間ほどだそう。かなり素早い感じ、しますね。
ちなみに「ここ」では、ギアロボットのパフォーマンスが観られます。かなり地味な映像ですが。
この「NaviConrol」システムを開発したのは、イタリアの自動車計測システム会社「HI-TECH社」。先日、同社は複数のロボットカーを同時に走行試験できる「Multi Control」と呼ばれるシステムをオプションとして開発、東陽テクニカによって日本導入が開始されました。
ちょっと気になるセットのお値段は、税別で約5000万円から。システムの構成や、計測機器のオプションによって、価格も増えていくようです。あくまで個人的な願望ではありますが、将来的にはスチールパイプとアクチュエーターでできた無骨な外装をアレンジして、もっと「ロボット」っぽくして欲しいような気がします。
たとえば「ハリケーンハニー仕様着せ替えモジュール」なんてどうでしょう。最新版ハニー役の西内まりやでは色気が足りないので、原幹恵ベースを希望します。オプションでいいです。開発現場の士気、アゲアゲ!必至です。