一般論として、現在自動車に使われている主な4ストロークエンジンは、カムシャフトで吸気・排気バルブの開閉をコントロールしています。しかし世の中には、このカムシャフトを排した4ストロークエンジンを作ろうとしている人もいるのです!
画像: こちらがカムシャフトの一例(コスワース用)。とんがったオムスビ断面の部分がカムロブと呼ばれており、ロッカーアームやプッシャーなどを介し、吸気・排気バルブを開閉させます。クランクシャフトの回転数の、1/2の回転数で回るように設計されています。 www.dsgperformance.com

こちらがカムシャフトの一例(コスワース用)。とんがったオムスビ断面の部分がカムロブと呼ばれており、ロッカーアームやプッシャーなどを介し、吸気・排気バルブを開閉させます。クランクシャフトの回転数の、1/2の回転数で回るように設計されています。

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カムシャフトをなくすことのメリットは?

今回紹介するのは、ケーニグセグが開発している「フリーバルブ」システムです。このシステムにおいてカムシャフトの代わりを勤めるのは、電気と油圧で動きを司るアクチュエータです。

機械式のカムシャフトは、カムロブのプロファイルに沿って、吸気・排気のバルブに一定の動きを繰り返させます。市販されているエンジンのなかには、可変カムプロファイル機構などもありますけど、カムロブのプロファイルに沿うという基本は一緒です。

画像: ケーニグセグは、1994年に実業家のクリスチャン・フォン・ケーニグセグに設立された自動車メーカーです。写真のケーニグセグ・CCR(806馬力は、イタリアのナルド・サーキットで395km/hを記録。当時の市販車でのギネス世界記録を樹立しました。2009〜2010年には、サーブを買収するという話題で、自動車業界を驚かせています(結局はお流れになりましたが)。 upload.wikimedia.org

ケーニグセグは、1994年に実業家のクリスチャン・フォン・ケーニグセグに設立された自動車メーカーです。写真のケーニグセグ・CCR(806馬力は、イタリアのナルド・サーキットで395km/hを記録。当時の市販車でのギネス世界記録を樹立しました。2009〜2010年には、サーブを買収するという話題で、自動車業界を驚かせています(結局はお流れになりましたが)。

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一方アクチュエータを使った場合、バルブの開閉の自由度はかなり広がります。一般的なカムシャフトでは不可能なバルブタイミングを(吸気・排気のバルブ同士、またはピストンクラウン部とそれぞれがぶつからない限り)、設定することが可能になるのです。

画像: ケーニグセグの"FREEVALVE"メカニズムの要のパーツ、アクチュエータ。 www.youtube.com

ケーニグセグの"FREEVALVE"メカニズムの要のパーツ、アクチュエータ。

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画像: ニューマティックスプリングは、あらゆる条件下でもスプリングの力を最適に保ちます。その制御のために、情報をフィードバックするポジションセンサーが内蔵されています。金属コイルスプリングも見えますが、これはバルブをバルブシートに密着させるためのものでしょうね。 www.youtube.com

ニューマティックスプリングは、あらゆる条件下でもスプリングの力を最適に保ちます。その制御のために、情報をフィードバックするポジションセンサーが内蔵されています。金属コイルスプリングも見えますが、これはバルブをバルブシートに密着させるためのものでしょうね。

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画像: アクチュエータの上にはレールと呼ばれるユニットが載ります。これは電気制御・油圧制御のためのパーツです。すべて電気で作動を管理するので、機械式のカムシャフトのように駆動ロスにつながる抵抗にはなりません。 www.youtube.com

アクチュエータの上にはレールと呼ばれるユニットが載ります。これは電気制御・油圧制御のためのパーツです。すべて電気で作動を管理するので、機械式のカムシャフトのように駆動ロスにつながる抵抗にはなりません。

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将来の発展が期待されるメカニズムですね。

ケーニグセグによると、一般的なカムシャフトのある4ストロークエンジンに比べ、フリーバルブ採用エンジンは出力とトルクが30%アップ! そして燃費とローエミッションも30%向上するとのこと! なんと良いこと尽くめでしょうか! またフリーバルブシステムでV型8気筒を作った場合、低燃費や低公害に貢献する気筒休止メカニズムとかも、カムシャフト式4ストロークよりも簡単に採用できるのがメリットです。

まぁエンジンの素人の考えですけど、このメカニズムのネガティブ面をあげるとすれば、電気・油圧のトラブルが生じるとエンジン内部が激しく壊れるリスク大・・・とか、電気と油圧の補機類が増えてしまいコスト増とスペース増に結びつきやすい・・・とかでしょうか?

でも、今までカムシャフトでは出来なかったバルブタイミングの4ストロークエンジン、ぜひクルマやモーターサイクルで試してみたいのは私だけでしょうか? これからの開発・展開に期待しましょう!

画像: Koenigsegg deescribes Freevalve - camless engine youtu.be

Koenigsegg deescribes Freevalve - camless engine

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