トライアンフがプロデュースするモダンクラシック・・・ボンネビルT120、ストリートツイン、そしてスラクストンR・・・これら2016年モデルは新型の水冷900〜1,200ccツインエンジンを搭載するのが特徴です。皆さんすでに、多くの専門誌でその走りの良さ、扱いやすさ、そして所有欲を満たすつくり込みに関するレポートを目にしていると思います。
失われるから惜しむのか・・・否、と思います。
じつは私も、新型のストリートツインにチョイ乗りの試乗を先日したのですが、素晴らしく良かったです。キビキビとした軽快な走り・・・198kgという乾燥重量よりも、車体を軽く感じさせる扱いやすさが光る1台でした。ビギナーからベテランまで、オススメできる大型スポーツモデルと言えるでしょう。
その後私は、旧型となった2015年型のボンネビルT100に乗り、ロレンス編集部のカフェ巡りツーリングに途中入り・途中抜けで参加しました(デキる男は忙しいのだよ・・・ウフフ?)。過去にも何度かT100には試乗したことがあるのですが、改めて「このT100もイイよな・・・」と思った次第です。
2016年型のトライアンフ・モダンクラシックは、いずれも270度クランクのバーチカルツインを採用しています。ヤマハが1990年代のTRX850以来定着させた、270-450度の点火間隔(90度Vツインと一緒です)は、トラクション感、パルス感に優れる点が特徴です。
一方、2015年型以前のT100は、ある意味古典的と言える360度クランクのバーチカルツインを採用しています。270度クランクの不等間隔に対し、こちらは等間隔で燃焼します。ドドッドドッに対し、ブォ〜ン・・・というフィーリングと言えば、エンジンのフィーリング差が伝わりやすいでしょうか?
270度クランクのバーチカルツインは、V型エンジン同様にパーシャルで走るよりも、スロットルをアケアケで勢いよく走る・・・という乗り方が合うような気がします(※個人の感想です?)。そして360度クランクのほうは・・・アケアケで走っても、パーシャルで走ってもOKみたいな、懐の深さと言いますか、融通のきくキャラクターと言えるでしょう。
極上車を手にいれるチャンスは、今が最後かもしれません。
悪く言うなら、刺激の強い270度クランクに比べて、360度クランクのバーチカルツインは、「中庸」なキャラクターなのかもしれません。2016年型モデルのデビュー以前から、トライアンフはスクランブラーに270度クランクを与えていましたが、彼らの結論としてこれからは刺激の強い270度クランクをメインにする・・・という方針を固めたのでしょう。
ただ、ヤマハやトライアンフのほかノートンやホンダも270度クランクを選んでいる今、ある意味世の中のトレンドとしては、バーチカルツインの「没個性化」が進んでいるのかもしれません(採用の狙いは、必ずしも一緒ではありませんけど)。
昔ながらのバーチカルツインエンジンの360度クランクフィーリングを味わえる、T100は今となっては貴重な存在なのかもしれないな・・・なんてことを、ショートツーリングの間に思ってしまいました。
まだ2015年型モデルの在庫があるため、T100系は今でも新車で入手することが可能です。また、今回お借りした試乗車のT100(トライアンフ東京みなと車両価格 115万2,800円)のように、割安に買える中古モデルも球数が豊富です。
360度クランクの大排気量バーチカルツイン良さは、トライアンフ、BSA、ノートンの1970年代以前のクラシックでも味わえますが、なるべく新しいテクノロジーで作られたソレを味わいたいなら、T100は選ぶべき筆頭のモデルだと思います。今回の試乗では、その思いを強くしました。