近年MotoGPで話題のウイングレットですが、来年は廃止されるって噂がありますね。そんなこともあってか、各チームテストではアレコレ新しい形状・サイズのウイングレットを試しており、その効果を今の間に研究し尽くそう・・・なんて風に感じます。

ダウンフォースと2輪車の相性は?

英語苦手なので間違っていたらスミマセンが、Wingletって小さいを示す接尾辞「let」をウイングにつけた言葉ですよね。太くてデカイ葉巻のシガーに対して、細くて小さい紙巻きタバコのシガレットみたいな・・・? 確かに最近MotoGPで使われているウイングは、サイズ的にはウイングレットという呼称がふさわしいでしょう。

画像: 先日、スペイン・ヘレスのテストで試された、マルク・マルケス車(ホンダRC213V)の6枚羽! ウイングレットの効果について各ライダーの評価は様々ですが、今では多くの参加車両に採用されるようになりました。 media.crash.net

先日、スペイン・ヘレスのテストで試された、マルク・マルケス車(ホンダRC213V)の6枚羽! ウイングレットの効果について各ライダーの評価は様々ですが、今では多くの参加車両に採用されるようになりました。

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しかし! かつて1970年代半ば、ウイングと呼ぶにふさわしい、デカいエアロパーツをロードレーサーに試した人がおりました。当時ニュージーランドでは、「マールボロシリーズ」というシリーズ戦がありましたが、その舞台の主役となったのは最強の市販750ccマシンと呼ばれたヤマハTZ750でした。

ひとりの若者の意欲作!

ニュージーランド人のロジャー・フリースは、ポール・マクラクランが所有していた製造番号162番目のツインショックのTZ750Aを1977年に譲り受けます。22歳の大学生だったフリースは、その年の内にTZ750Aにある改造を施し、大きなセンセーションを巻き起こすことになります。

画像: フリースが設計したウイングは、適当に作られたものではありません。オークランド大学のコンピュータを利用し、ドラッグとダウンフォースの最適値を計算し、ウイングの形状・角度・サイズを決めました。 www.theroaringseason.com

フリースが設計したウイングは、適当に作られたものではありません。オークランド大学のコンピュータを利用し、ドラッグとダウンフォースの最適値を計算し、ウイングの形状・角度・サイズを決めました。

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パッと見ではイロモノ風に見えますが、フリースは1984年に宇宙物理学の博士号を得た「ドクター」であり、そのウイングはちゃんとした研究の産物として生み出されたものです。ダウンフォースを得ることでより良いコーナリング性能を得ることが、ウイング採用の狙いでした。

画像: 660mm幅のフロントウイングは、フロントフォークのスライダーにフェンダーとともにマウントされ、700mm幅のリアウイングはシートカウルの上にセットされます。現在のオーナーの元でレストアされ、2004年のクラシックミーティングにて27年ぶりにその姿を披露し、ニュージーランドの話題となりました。 2.bp.blogspot.com

660mm幅のフロントウイングは、フロントフォークのスライダーにフェンダーとともにマウントされ、700mm幅のリアウイングはシートカウルの上にセットされます。現在のオーナーの元でレストアされ、2004年のクラシックミーティングにて27年ぶりにその姿を披露し、ニュージーランドの話題となりました。

2.bp.blogspot.com

テストを経て、フリースのウイング付きTZ750Aは1977年9月のマンフィールドでのレースを走ることになりました。しかし、安全上の問題についてクレームがつき、レースを統括するNZACUのジム・ドゥハーティは、リアウイングを外すことを命じます。その結果、フロントウイングのみの仕様で決勝を走ることになりました。

画像: エアロフォイルVIKOと名付けられたフリースの羽根付きTZ750A。なおVIKOはこのプロジェクトのスポンサーです。 www.speedzilla.com

エアロフォイルVIKOと名付けられたフリースの羽根付きTZ750A。なおVIKOはこのプロジェクトのスポンサーです。

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翌月、フリースらはハークスベリーで開催された、7.2kmの公道レースに参加します。当日の朝、ローカルのレース・スチュワードはNZACUの公式判断を得ていなかったので、前後ウイングを装着した状態での出走が許されました。しかし、フリースはフロントウイングのみ装着したセッティングを選択。ウェット状態の3つのレースで、TZ750Aは全戦ジョン・ウッドリーの駆るスズキRG500に次ぐ2位をゲットしました。

安全性の問題は、当時も危惧されていました。

好成績をおさめたエアロフォイルVIKO-TZ750Aでしたが、11月のプケコヘ・サーキットでのレース前のNZACU会議の結果、この翼のついたロードレーサーはレースから排除されることが決まりました。レース中の接戦で接触に起因する事故、そして転倒時に突起物である翼に巻き込まれたりすることの危険性・・・。この裁定を聞いたフリースは非常にがっかりしましたが、裁定に対する抗議は一切しませんでした・・・。

安全性について、翼の是非が問われているのは今のMotoGPの状況にも似ていますね。もちろん、近年のウイングレットはエアロフォイルVIKO-TZ750Aより小さいものですけど・・・。ウイングレットが来年以降もMotoGPマシンに装着されるのか、それとも排除されるのか・・・気になります。

余談ですが、鬼才、ジョン・ブリッテンの作品のひとつ、「エアロバイク」もナックルガード部が大きなウイングになっているのが特徴でしたね。ニュージーランドは、エアロダイナミクスをモーターサイクルで追求するエンジニアを育む風土があるのでしょうかね?(笑)。

画像: ブリッテンが製作したエアロバイク。ブリッテンについては、下の過去記事をご参照ください。 i1023.photobucket.com

ブリッテンが製作したエアロバイク。ブリッテンについては、下の過去記事をご参照ください。

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