両雄のラバーマッチの展開
サウスポーのパッキャオは、得意の飛び込んでのワンツーで左の強打を当てたい。
対して右構えのブラッドリーは、左ジャブを細かく使いつつ、カウンターを狙う展開。
パワーファイターのパッキャオはKO狙いで、結果として判定勝ちになろうが相手を圧倒しようとする。ブラッドリーは回転の速い連打と綺麗なカウンターで対抗する。二人の戦略は、パッキャオvsメイウェザー戦を彷彿させるが、パッキャオの左に対して右のカウンターを当てようとするあまりに、連打がついついおろそかになる感がある。
その展開が変わったのは第7ラウンド。軽く当たったパッキャオのパンチでバランスを崩したブラッドリーが両拳をリングにつき、ダウンと見なされたのだ。
明らかにポイントを奪われたことでブラッドリーは、カウンター狙いから持ち前の連打で攻勢に出る。速い連打に惑わされながらもパッキャオは逆にカウンター狙いへと転じ、なんと第9ラウンドでは再びのダウンを奪うことに成功する。
このダウンはまぎれもなくクリーンヒットによるダウン。
ダメージこそないものの、ブラッドリー陣営はもはや逆転KOを狙う他、勝利をつかむことは不可能となり、焦りを隠せないが、さりとてがむしゃらに前に出て相手を確実に仕留めるパワーは、彼にはない。
同時にパッキャオもまた自らの花道を劇的なKOで飾りたいあまり、自然カウンターをより狙うようになるが、結果として手が出なくなる。
やがて二人の戦いは最終ラウンドを迎え、勝敗の行方は判定に委ねられることになる・・・。
勝敗は・・・
マニー・パッキャオの判定勝ち。
下馬評通りだったといえるかもしれないが、二人とも攻勢を緩めることがなく、とても面白い一戦であった。
メイウェザーとの再選にこぎつけることがなければ、パッキャオの勇姿を観られるのもこれが最後、ということになる。
ボクシング業界は、今後は当分ゴロフキンやカネロ・アルバレスらを軸に動いていくことだろう。