なんの話をしているか? 読者は既にお判りだろう。そう、LINEがスマートフォン市場(ドコモの回線を利用したMVNO事業=Mobile Virtual Network Operator[仮想移動体通信事業者])に進出し、LINEモバイルとしてサービスを開始すると発表したことである。
そして、無料メッセージングアプリで国内最大のシェアを誇るLINEの幹部たちの目には、「まだ半分もある」と映ったようだ。
コップの例に例えたように、日本国内のスマートフォンの普及率は約50%。二人に一人がスマホを持っている、という意味であり、文字どおりコップにちょうど半分水が入っている状態となっている。
ちなみにLINEの利用者数は公式に発表されている数字では、5,800万人。これは日本の人口の45.7%に相当するという。メッセージングアプリの市場のコップにもまだ、半分水があるではないかと思うなかれ。確保された”半分”を持っているのは他ならぬLINE自身である。
とは言っても、そのコップの残り半分の水を飲み干すためには、それ相応の秘策が必要だ。そのためにどんな答えをLINEは用意しているというのか?
彼らはまず、自身のサービスであるLINEアプリ、およびFacebookとTwitterの使用に対してパケットフリーの対象とした。テキストや画像、動画はもちろん通話に関しても一切を無料と発表したのだ。さらに最低利用料金を月額500円とし、LINEを含むソーシャルメディアに関心のない層に対してもわかりやすいメリットを用意する。
LINEからすれば、30代以上のモバイルユーザーやシニア層を取り込めるとは思っていないだろう。10代から20代前半の若年層ユーザーをターゲットにしているのに違いない。彼らを取り込んだうえで、課金手段やポイント(マイレージ)を提供することによって、収益源の多角化を図る、というのが狙いだろう。
しかし、果たしてLINEの思惑どおりに事が進むだろうか。低価格のスマホという意味ではYahoo!モバイルとの激烈な競争にさらされることになる。
モバイルシフトを順調に進めるYahoo!と、モバイルにおいてはYahoo!を凌ぐ存在感を確立したLINE。その両者がコップの半分を奪い合う。低価格スマホの市場において、この夏からY! vs Lの戦争が始まると思うと、なかなかにワクワクするではないか。