1970年代は、ロータリー(ヴァンケル)エンジン搭載車開発が花盛りでした。
さかのぼること1970年代、世界中のモーターサイクルメーカーは、あるエンジンのモーターサイクル搭載の可能性を盛んに追求しました。1951年に、西ドイツのNSUがフェリックス・ヴァンケルが考案したヴァンケル(ロータリー)エンジンを開発。既存の2ストロークや4ストロークのような、レシプロエンジンじゃないところが、ヴァンケル(ロータリー)エンジンの肝でした。
大雑把に言いますと、ピストンやコンロッドのいらないヴァンケル(ロータリー)エンジンは、一般的なレシプロエンジンより軽量・コンパクトに作りやすいので、軽量・コンパクトであることが美徳のひとつとされるモーターサイクルには、ピッタリのエンジンだと多くのエンジニアやメーカーが考えたわけです。
1970年代、一番ド派手で注目されたのが、このOCR1000でした。
ザックス/ハーキュレス、ノートンなどなど、1970年代はヴァンケル(ロータリー)エンジンのパテントを使って、モーターサイクルを作る試みが盛んでした。日本でもスズキRE5が市販化されましたが、ヤマハ、ホンダ、カワサキもヴァンケル(ロータリー)エンジン搭載車を試作しています。
ここに紹介するファン・フィーンOCR1000は、そんな1970年代のヴァンケル(ロータリー)搭載車のなかでも、大きなインパクトを残したモデルでした。日本では、漫画「熱風の虎」でも登場したことが、知名度を高めるのに大きく貢献しているのかもしれません。
え? バンビーンじゃなくて、ファン・フィーン?とツッコミされそうですが、オランダ現地で私の耳で聞いた限りでは、ファン・フィーンになりますね(Van Veen=ヴァン・ヴェーンという表記も目にしますけど?)。これはそもそも人名で、オランダ・アムステルダムにて西ドイツのクライドラーの代理店をしていた、ヘンク・ファン・フィーンのお店の名前でもありました。
ファン・フィーンが最初にヴァンケル(ロータリー)車を試作したのは1974年。コモトール(仏シトロエンとNSUのジョイント・ベンチャー)製の624エンジン(1000cc・2ローター)を搭載するプロトタイプを製作し、その年の秋のケルンショーで発表しました。
市販化にはそこからちょっと時間を要し、1978年から1981年の間まで市販バージョンを販売。しかし、コモトール自体が大してエンジンを作らなかったこともあり、1974〜1981年の間のOCR1000生産台数はわずか38台にとどまりました。100馬力というパワーが売りのOCR1000でしたが、当時のプレスの評価は低く、先述のとおり生産体制も十分ではなかったので、市場で人気を得るまでには至りませんでした。
それでは、OCR1000の走りを動画でお楽しみください。
そういえばOCR1000といえば、2011年に残っていたOCR1000のパーツを購入した人が、10台のOCR1000を組み立てて販売したことが話題になりましたね・・・え、そんなこと知ってるのはオタク野郎だけですって? どうもスイマセン・・・。
それはさておき、非常にレアなOCR1000の走りを直に見ることは、やはり非常に稀です。せめて動画でも見たい、という個人的心情から実走動画を集めてみました。ぜひご覧になってみてください。