YAMAHAからお借りしているXJR1300。
先日、軽いインプレッションをお届けしたが、お読みいただけているだろうか。

二上編集長が高速道路を利用したツーリングでの走りをレポートしてくれることになっているので、僕は日常的な街乗りでの感想を改めて書いてみよう。コースは、愛宕神社から新橋、銀座、大手町、神保町を回って皇居をぐるり、そしてロレンス編集部のある広尾までの、チョイ乗りだ。

01. 若いっていいな;^_^A

前回も書いたが、普段旧車と呼ばれるバイクに乗っている僕からすると、寒い冬の朝でも セル一発で元気よくエンジンのかかることにさえ、バカみたいに感動するw ZIIならチョークを引いてエンジンをかけ、3〜5分は暖機しないとアイドリングが落ち着いてくれないし、マフラーに溜まった不燃ガス?が抜け切るのにも、さらに5分はゆっくり走ってやらなければ調子が上がらない(苦笑)。

常に機嫌よく、いつだって本調子。
いつもどこかに不安を抱えて走る旧車乗りからすると、いま買える、最新の空冷マルチネイキッドが存在しているというその一点を、やはりしみじみありがたいと感じざるをえない。

02. 高すぎない"高性能"

さて。取り回しは重いXJRだが、前に書いたように、走り出すと実に軽々と動く。
車の間を縫って、レーンチェンジを繰り返しながら走り抜ける際も、ギアをいちいち落とすことなく太いトルクでグイッと加速して一気に車を抜いていける、その力強さと安定感。実に心強いし、運転しやすい。万一 突然前方の車が前を塞ぐようなことがあったとしても、ヒヤリともせずに楽々車間を開けられるブレーキの制動力。これがあるからさらに安心して、開けられる。

サーキットで全開にしたいと思うのでもなければ、これ以上の性能は無意味に思える。飛ばす、のではなく、安全に流れを読んで 駆ける。それができる高性能と、それ以上の冒険を必要以上に自らに課すことのないちょうどよさ。そのバランスがとても良い。それがこのXJRだ。

さて。
車体にも慣れてきたので、コーナーへの進入速度を上げて、心持ち強めにリーンさせてみても、全く不安感がない。
ただ、例えば信号待ちから左曲がりに動こうとしたときのような、横断中の歩行者をやり過ごしていくようなスローな動きをなんども強いられると、やはり巨体であることを意識する。男はいいが、たいていの女子はこのバイクを選ぶまい。

03. なにも足さない、なにも引かない(©サントリー)

XJRのスタイリングは、実にオーソドックスだ。
とはいえ、巨体に怖れをなす女子の、引き攣る顔が目に浮かぶが(笑)、それでも数多のリッターバイク、それもスーパースポーツたちの異形に比べれば大人しく クラシカルな見た目は、女の子ウケは悪くなかろう。実はこれは一つの性能、だと僕は思っている。

オートバイが主にオトコの趣味である以上、女の子、特に自分のパートナーにもその意義と意味を認めてもらうことは大事だ。家族ができたから、彼女が反対するから、という理由でオートバイを降りる男たちを、僕は嫌というほど見ている。

また、かつてのバイク乗りたちが、中年になってリターンライダーとなる際にも、家族からの理解なしには、十分な楽しみを得ることは難しかろう。

その点、このXJR1300は、見た目に巨大ではあっても凶暴さのかけらもなく、目み麗しい、実に優しいバイクだ。上述のような、パートナーや家族ウケのいい”性能”を欲すれば、ハーレーダビッドソンやBMW、ドゥカティなどの有名外国ブランドも選択肢の中に入るが、軒並み 200万円(&オーバー)はかかる。それがXJR1300なら103万円(税別)で買うことができるのだ。

「なにも足さない、なにも引かない」という名コピーがあるが、XJRにもまさしくこれが当てはまる。

シンプルだが、奥が深い。なんという矛盾だろう。静謐があって、覇気がある。ゆったりと、鷹揚で、大きな流れと、縦横無尽に闊歩するものとが、同居している。なにも足さない、なにも引かない。ありのまま、そのまま。この単純の複雑なこと。

日本の良さを体現した、単純で複雑なオートバイ。
かつては数多く存在したはずだが、いまでは数少ない選択肢となってしまった。その中の一台こそが、このXJR1300だと思う。

画像: 迫力はあるものの、異様さの欠片もないオーソドックスな形から、路肩に停めていても 人目をひくことは少ない。

迫力はあるものの、異様さの欠片もないオーソドックスな形から、路肩に停めていても 人目をひくことは少ない。

画像: それでいて後ろ姿はセクシーだ。

それでいて後ろ姿はセクシーだ。

画像: オートバイって、こういうカタチ、と思える。

オートバイって、こういうカタチ、と思える。

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