米Yahoo!の取締役会が、中核のネット事業の売却を検討しているという報道が流れている。
Googleから鳴り物入りで引き抜かれCEOに就任したマリッサ・メイヤーは、Tumblrを始めとする十数社の有望スタートアップの買収を始め、さまざまな手を打ってきているが、その効果はいまのところ薄く、米Yahoo!の企業価値のほとんどは、保有するアリババとYahoo!Japanの株式の時価総額の総計でしかない、というのが悲しい現実を物語る。

そんなマリッサが就任以来、Mavens、という指標を採用しているのはご存じか?

Mavensとは、モバイル、動画、ネイティブ(アド)、ソーシャルの4つの成長領域のことで、この分野での再成長を目指す、というのが彼女の目標である。
ウォールストリートジャーナルの報道によると、ほぼすべての経営目標を達成できず、売上も利益も減少気味にある米Yahoo!であるが、このMavensの領域では掲げた目標を辛うじてながら達成しているようだ。

MavensをMobile, Video, Native Ad, Social Media の頭文字とするのは、本来はいささか無理がある。MとVの間にAはない。通常であればMovins、となるだろう。

マリッサがあえてこれを Mavensと呼ぶのは、彼女なりの知的なシャレだと思う。
つまり、Mavenとは、"特別な分野における信頼すべき専門家"を意味する、ヘブライ語ゆかりの言葉であり、”理解する者たち”という賢人を指す特別な呼称であるからだ。

A maven (also mavin) is a trusted expert in a particular field, who seeks to pass knowledge on to others. The word maven comes from Hebrew, meaning "one who understands", based on an accumulation of knowledge

実際米Yahoo!が立ち直れるかどうかはわからない。というより、マリッサがCEO就任して以来、いや彼女がYahoo!に加わる前からYahoo!の凋落は始まっているし、いまだに衰退し続けている。この流れを押しとどめることはもはや不可能かもしれない。どんな賢人にも不可避な宿命はある。

しかし、彼女が成長を期する新しい領域として名付けたMavensは、確かに存在するし、インターネット事業のフロンティアであることは間違いがない。Yahoo!は失敗するとしても、僕たちが目指す世界を端的に、知的なネーミングで表現してくれた彼女のセンスは、評価すべきではないだろうか。

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