カワサキというバイクメーカーに対しては、他の3メーカーと較べて特別なものを感じている方も多いと思う。昔からある“硬派カワサキ”的なイメージだね。歴史的な名車をいくつも生み出して、どれも記憶に残る強い個性を持っていたのも、カワサキのプロダクトの特徴といえるだろう。中でも1972年に発売されたZ1は、カワサキのイメージを決定づけたといってもいい名車中の名車だ。
カワサキのブースでは、1972年のZ1と2015年のNinjya H2R、H2を美術館の絵画のようにショーケースに陳列していた。Z1はもちろんだが、H2も時代を変えたマシンとして後世まで語り継がれるのは間違いないだろう。そういう意味で、カワサキが生み出したこのマシンたちは、現代バイクにおける“ルネサンス”ともいえる芸術作品なのかもしれない。
スーパーチャージャージドエンジンという発想と、パイプフレームによる独創的なアーキテクチャを持つH2RとH2。スーパースポーツが各社のフラッグシップとなり、それに慣らされてきたようなところのある私たちに、“硬派カワサキ”は「馴れ合うな!」と喝を入れているかのようだ。H2RとH2の歴史的な評価は今後にゆだねるが、たったいまも鮮度を失っていない。
思えばバイクのエンジンの進化はストイックに過ぎたのかもしれない。サイズの問題はもちろんあるが、クルマではターボやスーパーチャージャーはすでにあたりまえだし、ハイブリッドから電気モーターや水素と様々なテクノロジーが試されている。バイクのエンジンにスーパーチャージャーを採用するというカワサキの試みは、バイクに乗る私たちに新しい景色を見せてくれるのかもしれない。
一方で、「Z125 PRO」というかわいいミニバイクも発表している。ビッグバイクのイメージが強いカワサキだが、KSRや古くはAR50というエッジのきいたスポーツバイクも発売しているのだ。
キング・オブ・スポーツバイク「Ninja ZX-14R ABS(High Grade)」から、モデルチェンジされた2016年型「Ninja ZX-10R ABS(KRT Edition)」まで。カワサキファンにとってはその価値は不変のものであろう。レーシングカラーであるライムグリーンで統一された出展にも、ゆるぎない自信と独自性を感じさせられた。
誤解を恐れずにいうと、日常の足を支えるスクーターから、MotoGPマシンまで網羅する他の3メーカーと違い、カワサキはバイクライフという、趣味に特化したモデルをラインナップし続けてきたメーカーだ。今回のテーマとしてカワサキが掲げたのは「RIDEOLOGY」。「カワサキは、違う」と宣言している。まさしくその通りだと思う。私もカワサキ車オーナーであるから、ついつい語りが熱くなってしまった(笑)
冒頭でZ1とH2の展示をルネサンスの絵画のようだと評したが、個人的にはこの間にGPz900 Ninjaをはさんでほしかったね。この3台こそ、スポーツバイクのルネサンス(あえて革新というニュアンスで使っています)ではないかと思うのだ。すみません、、、熱くなり過ぎました。。。