私、フレッドのナイショの話をお届けします。
こんばんは。朝でも昼でもこんばんは。
私、フレッドです。今回は、ちょっと良い話をご紹介しましょう。いつもの変態的性癖の友人はでてきませんが、お読みください。
私の大学時代の悪友、K本が言ったとっておきの一言、の話です。
K本はうまれつき心臓が弱く、激しい運動が禁じられていました。容姿は爽やかで、そもそも女性にモテる男だったのですが、小学生の頃から体育の授業はほぼ見学、そうした過去が彼に影を与えて、さらに母性本能をくすぐる結果を作っていました。
さて、そのK本の一言とは、 「男はピストン。女はシリンダー」 というものでした。
人間もバイクもエンジン次第・・・
俺はさ、欠陥車だからさ、とK本はいつも言っていました。
「心臓はエンジンだろ」とK本は寂しげに言います。「肺はキャブレターで血液はガソリン、リンパはオイルかな。ところが肝心のエンジンが役立たずだから、俺は欠陥車なんだよ」
K本はオートバイ好きで、特にハーレーダビッドソンのファンでした。しかし、あの振動があまり体に良くない、という(根拠があるのかどうかはわかりませんが)両親の反対で、オートバイの免許は持っておらず、もっぱら車を足にしていました。
好きなバイクにも乗れない、俺は欠陥車なんだよ、とK本は、よく呟いていました。そんなK本を、どうなぐさめていいか、私、フレッドにはわかりませんでした。
彼女は俺のシリンダーなんだ。
そんな彼は、上述のように良くモテましたが、他人と共有できない劣等意識のせいでしょうか、あまり女性にも心を開かず、いつも短めの交際で終わっていました。
ところが、大学3年の秋のことです。彼は急に私、フレッドに「俺、結婚する」と打ち明けたのです。
「誰と??どうして?」私、フレッドは驚いて聞き返しました。
K本は、かかりつけの大学病院で知り合った、若いナースと恋仲になったんだそうです。
K本は言います。「ピストンには、ぴったりのシリンダーが必要だろ?俺のエンジンは欠陥だらけだから、せめていいシリンダーを手に入れたいんだよ」男はピストンで、女はシリンダーだから、相性が合うなら一緒にいるべきなのさ、と。
K本はその宣言通り、大学を卒業すると同時に、結婚しました。
彼女はいまでもナースを続けていますが、二人の仲は良好です。
俺のエンジンは欠陥だらけだけど、とK本は今でも口にします。
「俺のエンジンが焼きつかないように、最高のシリンダーが頑張ってくれるから、俺はうまくやれてるよ」