大藪春彦原作『汚れた英雄』の映画化作品。
1982年に公開された映画で製作:角川春樹事務所 / 東映、配給:東映。

観ましたよ!映画『汚れた英雄』!
Amazonプライムビデオに加入したら、 年額3900円(税込) でなんでも見放題。だけどトーマス的には、一発目はやっぱりちゃんと観たかったこの映画を観たんです!

原作とはだいぶ異なる、エッセンスだけを抽出した作品

みなさま、よくご存じの通り、小説『汚れた英雄』は、まだ十代の北野晶夫(主人公)が、草レースに一人参加するところから始まり、最後はWGP(World Grand Prix)からの引退を考えつつ、四輪のレースに鞍替えしようかとしているところで終わります。

つまり10年以上の、晶夫の人生を追いつつ、当時の日本メーカーのWGPへの挑戦の軌跡を描いているのが『汚れた英雄』です。

しかし、さすがに映画の2時間枠に押し込むには、それではダイジェストすぎるというわけで、この映画にあっては、世界に飛び出る前の、全日本ロードレース選手権(国際A級500ccクラス)でのチャンピオンシップを争う終盤戦(シーズンの最後の2レース)を描くことで、主人公北野晶夫の生き様を表現しようとしています。

画像: 菅生サーキットを舞台として始まる魅力的なオープニング  www.amazon.co.jp

菅生サーキットを舞台として始まる魅力的なオープニング

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画像: ヤマハの全面協力で実現した、迫力あるレースシーン www.amazon.co.jp

ヤマハの全面協力で実現した、迫力あるレースシーン

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思うに、設定や登場人物をいじること自体は悪いことではなく、やむを得ないかなと。主演の草刈正雄さんの長身+美青年ぶりは、もう北野晶夫そのものだと思うし。てか、なんでも、草刈さんは北野晶夫を演じるのは自分以外いない!と映画化が決まる前から公言していたらしく、ほんとに自分にきまったときには、嬉しくて吐くまで飲んだらしいですよ〜。うーん、素敵。

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さて、映画『汚れた英雄』は、お金持ちな女性たちをパトロンにして、その金でプライベートチームのオーナー兼レーサーとして、ワークスチームを向こうに回して善戦する北野晶夫を描きます。非現実的、といえばそれまでですが、漫画『F』でも赤城軍馬の初期のスポンサーは彼の元恋人だし、小説『汚れた英雄』でもレース資金にはしないまでも晶夫は多くの女性から支援を受けています。実際、ヨーロッパでは、女性からの支援でレースやっている人多そうに思います。あ、有閑マダム的なパトロン以外にも、ほんとにレース大好きで余興でスポンサーしちゃう大金持ち、つまりタニマチ的な人は多そうです。

で、映画自体はやはり30年以上前の映画であることもあって、シーンのつなぎや、映像自体に古さがあるのは否めません。F1レースのライバル同士の激しいバトルを描いた『ラッシュ/プライドと友情』に比べると、レースとレースの合間のエピソードの描き方はやはり拙いです・・。
とはいえ、前述したように、30年以上の前の映画ですから、その辺はしょうがないです。
逆に、レースシーンは思わず体が左右に傾いてしまうほど、臨場感というか、切迫感があります。
ローズマリー・バトラーが歌う主題歌も、絶対に口ずさんでしまうほどしっくりきます。いやー、細かい問題点や些細な演出上のミス、粗さは、ほんと吹っ飛んじゃう迫力です。
(菅生の次は富士スピードウェイだ!と言っているわりに、結局最終戦も菅生ですw。でもいいんだよ〜)

国内では空前絶後の本格的レース映画

この映画『汚れた英雄』がすごいのは、これ以降、本格的なオートバイレースを題材にした映画が日本では撮られてないってことです。
(いや、これがあるぞ!という情報あれば是非お教えください。)

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例えば『バリバリ伝説』を、実写映画していくことだってできると思うんですんが、やっぱりお金、だいぶかかるんでしょうね。サーキットを貸切にするのもお金かかるし、エキストラもたくさん必要だし。でも、いままたこの『汚れた英雄』や『バリバリ伝説』を映画化するのって、『ラッシュ』を見ればわかるように、お金かければ実現可能なんですよね。

日本の4大メーカー(HONDA、YAMAHA、SUZUKI、Kawasaki)が協力して、このどちらかを映画化して、日本人レーサーが世界を制する話を作ったら、またバイクブームがくるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか??
もちろんバイク乗りのロードムービーみたいなのもいいんですけど、やっぱりモータースポーツってかっこいんじゃないですか。若者が熱狂するんじゃないかと思うんですよね。
いまのJリーグや、海外リーグで活躍する日本人が増えたのも、『キャプテン翼』の活躍が大きいというじゃないですか。

ぜひ、日本メーカーには共同で共催して、日本のバイク市場にもう一度火をつけるトライをしてほしいなあ。

最後に、映画の評論に戻りますが・・・アラは探せばきりないです。面白かったですよ。
何回も転倒して、なおかつ勝っちゃうなんて、スプリントレースでは絶対ありえないですけど、そんなこともどうでもいいです。 ライディングハァーイ! と叫べば、アドレナリン爆発。それでいいんです!

(あ、ちなみに、この映画見ると、昔の乗り方が、いまと比べるとだいぶ大人しいことに改めてびっくりします。この映画の乗り方なら、峠でも真似できそうですけど、マルケスとかロレンソの乗り方真似たら、速攻どっかにぶっ飛んで入院間違いなしですからねw)

映画 汚れた英雄

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映画『汚れた英雄』
監督 角川春樹
脚本 丸山昇一
製作 橋本新一 / 和田康作
製作総指揮 角川春樹
出演者
草刈正雄
レベッカ・ホールデン
木の実ナナ
浅野温子
勝野洋
奥田瑛二
中島ゆたか
朝加真由美
伊武雅刀
音楽 小田裕一郎
主題歌 ローズマリー・バトラー『汚れた英雄』(原題:Riding High)
撮影 仙元誠三
編集 西東清明
製作会社 角川春樹事務所/東映
配給 東映
公開 日本の旗 1982年12月18日
上映時間 112分

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