病に苦しむ少女が出会った光
ヘイゼルは甲状腺癌が肺に転移し、ステージ4と宣告されている。彼女はいつ来るかもしれない死に怯え、憂鬱な日々を過ごしていた。彼女の慰めはピーター・ヴァン・ホーテン作の『大いなる痛み(An Imperial Affliction)』という小説を読むこと。アンナというガンに侵された少女の話だ。
そんなとき、ヘイゼルはオーガスタスという青年に出会う。オーガスタスは骨肉腫で右下肢を失っていたが、明るさと陽気な軽口を忘れない爽やかな青年だった。
二人は恋に落ちるが、ヘイゼルは自分の病状を考え、なかなか彼を最後まで受け入れることができない。
死と隣り合わせに生きてきたからこそ、死を目の前にして静けさを保てる二人
なかなか進展しない”幼い”二人の恋だったが、オーガスタスがヘイゼルの愛読書の作者ピーター・ヴァン・ホーテンがアムステルダム在住であることを突き止めたことで状況が変わる。二人はヘイゼルの母親と共にアムステルダムへの旅を決意するのだ。
ピーター・ヴァン・ホーテンとの邂逅は夢に見たそれとは違っていたが、二人は愛を深め、そして結ばれる。
しかし、二人の愛の前には新たな障害がはだかる。
オーガスタスのガンが再発するのである。そしてそれは、二人の想いと裏腹に非常に深刻なものだった。
つらくてもユーモアを忘れず、最後まで生きることをやめない
本作は、全体を見れば非常に辛い物語だ。
二人の恋人たち、そしてその友人たちにも未来はない。それでも愛することをやめないし、自分と同じ境遇の人たちとの共感と、そして自分たちを見守ってくれる親たちへの配慮や感謝を欠かさない。辛い現実にあっても、ユーモアを忘れることもないのだ。
だから、つらくて泣きたくなるような映画だが、かろうじて温かい想いをつなぎとめておけるのだ。ヘーゼルとオーガスタスの合言葉は OK 。二人はそうやって励まし合い、愛を確かめ合うのである。
オーガスタスは結局ヘイゼルより先に旅立つが、そのあとで意外な出来事が彼女を待っている。それは本作を見て、自分の目で確かめるべきだろう。OK??