1976年 - 1977年、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された、若き日の村上もとか先生のバイク漫画。バイク版『サーキットの狼』のように、世界のオートバイが活躍。
画像: 【一気読みレビュー!】粗くて荒っぽいが世界の名車、特にバンビーンOCRに蕩ける『熱風の虎』全5巻

名前は聞いたことがありました『熱風の虎』。
70年代らしく、そしてジャンプらしく、やや荒唐無稽な設定とストーリー展開。荒っぽすぎます〜。キャラクターの性格や言うことも心変わるしw。さすがに古いというか、若い頃の作品という感じ。ただ、勢いはすっごいんです。
また、ほかのバイク漫画とちがって、登場する名車たちのほとんどが外国車。MVアグスタ、バンビーンOCR、ミュンヒなど、オートバイの世界のフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーのような扱いで、次から次へと登場するのがなんとも異色。

最近BMWやドゥカティなどのスーパースポーツの存在感が増していて、大型バイクに乗るなら、こうしたヨーロッパ車やハーレー、というムードが日本市場のみならず世界的なトレンドになってきている気がして、その意味ではいつか同じように憧れのバイクはすべて外国車、という状態になるんじゃないかと、読んでてなにか不安な気分にもなっちゃいました。

往年の名レーサー 大番虎吉の一子、虎一が虎のレーサー二世を目指す話

画像: 二輪車メーカー マツダイラのマツダイラ社長が、世界に通じる大型スポーツバイクの開発のため、レースの世界への進出を決意。監督に選ばれたのは虎のレーサーと呼ばれた大番虎吉。 www.amazon.co.jp

二輪車メーカー マツダイラのマツダイラ社長が、世界に通じる大型スポーツバイクの開発のため、レースの世界への進出を決意。監督に選ばれたのは虎のレーサーと呼ばれた大番虎吉。

www.amazon.co.jp

業績不振は、欧米市場に輸出できる高性能大型バイクがないからだと考え、モーターサイクルレースに進出し、世界に名前を知らしめる戦略に出た、国内オートバイメーカーのマツダイラ。
社長の松平は、元戦闘機乗りでGPレーサーだった大番虎吉を監督に任命し、世界に通ずるバイク開発と、レーシングライダーの発掘を開始します。

虎吉の息子、虎一もこのプロジェクトに選ばれようとするのですが、あまりに荒っぽい乗り方が災いし、松平社長に嫌われて、外されてしまうのです(冒頭では松平社長は虎一を買っている言動があるんですが、なんでですかねw)

画像: マツダイラが開発したレース用マシン

マツダイラが開発したレース用マシン

画像: 父親に虎のレーサー二世になることを宣言する虎一。ただしこの時点ではレース経験はありません・・・学ラン姿も懐かしいです

父親に虎のレーサー二世になることを宣言する虎一。ただしこの時点ではレース経験はありません・・・学ラン姿も懐かしいです

サイドカーに注目した唯一の作品?

失意の虎一に、若かりし日の虎吉の最大のライバルであり、BMWのトップライダーだった日系二世ジョー・鳥飼が、なぜか虎一の支援を買って出ます。彼は事故で片足を失っており、現在はサイドカーレースに熱中していました。
そのため、鳥飼は支援をする引き換えに、マツダイラの開発マシン第一号の発表会に、特殊なレーシングサイドカーを使って、殴り込みをかけることを虎一に命じます。

画像: サイドカーレースの模様が漫画で描かれているのはほかにないのでは??

サイドカーレースの模様が漫画で描かれているのはほかにないのでは??

画像: 左に曲がるときはパッセンジャーは路面に肩を擦るくらい傾き、右に曲がるときにはドライバーに覆いかぶさるように荷重移動する。

左に曲がるときはパッセンジャーは路面に肩を擦るくらい傾き、右に曲がるときにはドライバーに覆いかぶさるように荷重移動する。

虎一は、相棒のブラックタイガー(本名イサム)とともにサイドカーでマツダイラの最新マシンに挑み、全車(自分を含む)を廃車に追い込んでしまいます。大手メーカーの新車発表イベントに乗り込んで、事故を起こして損害与えたら警察沙汰だと思うのですが、そういう野暮は誰も言わない。さすがジャンプですw

しかし、ドライバー(ライダーとは言わずドライバーという)とパッセンジャーが協力しあって、不安定な三輪車を自在に操る姿は、結構衝撃的。

本作は、サイドカーを本格的に紹介した最初の作品なのではないでしょうか??

世界の名車が集結。外国車の魅力を伝えるも、心に残るのはやっぱりバンビーン!

鳥飼の命令通りマツダイラへの嫌がらせ?を行った虎一とブラックタイガーは、首尾よく素晴らしい名車と、レーサーへのチケットを手に入れます。
そして、彼らは世界の超一流外国車たちが集結する、一大レースに挑むことになります。

画像: MVアグスタ、ドゥカティ、モトグッツィ・・

MVアグスタ、ドゥカティ、モトグッツィ・・

画像: 真打ちはロータリーエンジンを搭載した当時最速?の幻のオートバイ、バンビーンOCR1000。ランボルギーニイオタみたいな扱いです。

真打ちはロータリーエンジンを搭載した当時最速?の幻のオートバイ、バンビーンOCR1000。ランボルギーニイオタみたいな扱いです。

画像: 虎一はわずかな差で逆転勝利。彼のマシンはカワサキZ1改。

虎一はわずかな差で逆転勝利。彼のマシンはカワサキZ1改。

虎一は多くのライバルたちが駆る世界の名車たちと激しい戦いを繰り広げます。
ライバルのバイクは、MVアグスタ、モトグッツィ、ミュンヒ、ドゥカティ、BMWなど、ほぼ全員が外国の超一流バイクたち。まるで『サーキットの狼』の世界なんです。

中でも別格扱いなのが、虎一の最大の好敵手氷巻が乗るバンビーンOCR1000。
ロータリーエンジンを搭載し、リッター100馬力を超える、当時としてはありえないくらいのスーパーバイクです。別格というのも、氷巻は1周遅れでレースに参加するのですが、あっという間に周回遅れを挽回し、トップ争いに躍り出てしまうほどなのです。
この漫画で何を覚えるかというと、このバンビーンですね。オランダ製で、世界で数十台しか生産されなかったという希少車。いまではありえないロータリーエンジンのバイク。キーンという特殊なエンジン音。一度実車を拝んでみたいものです。

とはいえ、なぜか虎一のバイクはカワサキZ1。もちろんフルチューンしてあるんですけど。これが意図的だったかどうかはわかりませんが、最終的に虎一は優勝し、レーサーとして世界に飛び出るチャンスを得るのです。

そして虎一と氷巻は世界に舞台を移し、日の丸を背負って競い合っていく、というところで物語は終わります。

冒頭で書いたように、かなり荒唐無稽な漫画なんですが、とにかくこの漫画の主人公は、虎のレーサー(逆境を跳ね返して勝ってしまうレーサーのこと)というより、もうとにかくバンビーン。

バンビーンOCR1000という幻のバイクにうっかり恋をする、そんな漫画なんですよ〜。


おまけ:

日本で唯一バンビーンの実車を保有している喫茶店があるらしいです・・・・大阪。
今度行ってみようかな・・・

名車とコーヒーの店 Van Veen OCR 1000 オランダ製 バンビーン 喫茶店 ザ・ミュンヒ

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