オヤジ世代のデートプランニング

40代,50代のオヤジ世代の強みのひとつは強力な洞察力だ。女性に対してのきめ細かな観察や推察から生まれる気配り。例えばオヤジ世代はデートプランを練る。単に女の子が好きそうとか,最近流行っているというようなだけで店を選ばない。

例えばデートの日の決め方も大事だ。彼女の仕事の状況から分析して月末は忙しいのか,生理中はHができないだけでなく,そもそも体調がよくない場合も多い。湿度が高いと髪が最悪で不機嫌になるような女性もいる。彼女が安心して自分とのデートをハレの日として楽しんでくれる日の設定は重要になる。

また誕生日のお祝いだからとフレンチやイタリアンの簡単には選んでは行けない。彼女がもてる人気者であれば他のボーイフレンドや友人達と一週間フレンチが3回続いている可能性がある。その場合さりげなく和食に連れて行く。うまくはまれば「そろそろ食べたいと思っていた」という笑顔を見ることができる。最近はfacebookで相手の状況データが入手できるのも強い武器だ。彼女の置かれているシチュエーションや周辺の友人関係まで思いを巡らせるぐらいでなければ退廃主義者として尊敬されるオヤジにはなれない。

電話の前の30分

オヤジ世代のこの強さはもちろん年月を重ねてきた経験に裏打ちされている部分もあるし,一部は昔のホットドックプレスやホイチョイプロダクションのおかげな部分もある。しかし実のところその重要な原点は電話にある。

昔の電話は現在の携帯電話では無いため,家の電話だった。これがくせ者だ。デートの約束をするためにもそもそも家に電話をしなければいけない。しかし彼女と話せるかどうかはわからない。まず家にいるか?居たとして今電話に出られる状況か?(お風呂に入っている,テレビを見ている,別の家族が電話をしているなど)というハードルがあり,これをクリアしたとしても最大の難関お父さんが電話に出るという恐怖が待ち受けている。そのためには電話の前の入念なシミュレーションが重要だ。今日は彼女の好きなドラマがやっていないか,いつも何時頃お風呂に入るか,弟がよく電話している時間帯は,お父さんはそろそろ帰ってきているだろうか,仮にお父さんが出たらなんと言おうか,そのあたりの事前シミュレーションがぐるぐると頭を巡ると簡単に30分は経ってしまう。

そして緊張の電話だ。運良く彼女に繋がった!ラッキーとばかり世間話で少し話題を盛り上げたあたりでいよいよデートの約束を切りだそうかというところで「あ。キャッチごめんね。」という非情な一言で電話が切られることもあった。そう昔はキャッチホンという電話の途中で割り込める仕組みもあったのだ。

なんとかデートの約束を取り付けたとしても,次に待ちあわせが大変だ。何しろ最近は「19時に渋谷あたりで,ついたらLINEで連絡する」なんという感じだが,昔は待ちあわせ場所と時間が正確で無ければ会えないこともあったのだ。「渋谷ハチ公の右後ろ足の横で」ぐらい細かい指定もあった。待ち会わせ時間に来なければ「あれ?ひょっとしてモアイ像にしたかな?それとも明日だった?時間間違えたか?」とまた不安な妄想が頭をもたげる。

相手のことを考えることは退廃主義の第一歩

画像: 相手のことを考えることは退廃主義の第一歩

わかってもらえるだろうか。それぐらい色々なことを考え抜いて考え抜いて,我々オヤジ世代はたくさんのデートをこなし,女の子を喜ばせようと頑張ってきたのだ。これは肉食,草食の問題では無い。相手のことを深く深く考え洞察力を磨いてきたのだ。この連載では何度も言っているが,退廃主義のエロスは相手を喜ばせるエロスだ。自分の欲望もかなえるために相手のことをとことん考えることが大事であり,結果的にはそのスキルは女子にもてる強力な競争力になるのだ。

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