1980年代を通じて、オートバイに憧れる青少年たちの心をがっつり掴んだバイク漫画の金字塔といえば、やっぱり「バリバリ伝説」と「あいつとララバイ」でしょう。
リアルタイムには知らないトーマスですが、もちろん読んでますよぉ。結構昔になっちゃいますけど。
サーキットを中心に描くレース派の「バリバリ伝説」と、公道バトルを中心とするストリート派の「あいつとララバイ」。どっちかというと「あいつとララバイ」に共感することが多かったトーマスなんですが、周囲が改めて「バリバリ伝説」読み通してみろよ、感動するぜ、というので、もう一度読み返してみました!Kindle万歳!
峠時代
始まりは高校二年生w
無鉄砲でセンスと体力だけで、凄まじいスピードで連戦連勝だった公道レーサー、巨摩郡(グン)。
その彼の前に、同い年でありながら、緻密で計算され尽くされた絶妙なテクニックの持ち主、聖秀吉(ヒデヨシ)が立ちふさがります!
お金持ちのボンボンのグンに対して、貧乏で苦労人のヒデヨシ。グンはなかなかヒデヨシに勝つことができません。
そんな彼らに、降ってわいたようなチャンスが訪れます。鈴鹿の8耐の前座的レース、4時間耐久レースへの出場権を与えられるのです。
彼らは首尾よく4耐で劇的な優勝を果たし、世に出るきっかけを得ます。
しかし、幸運の絶頂で、ヒデヨシは不慮の事故によってこの世を去ります・・・。このあたりのくだりは、同じ少年マガジン系の「あしたのジョー」のジョーと力石の関係に近いかもですね。結局グンはヒデヨシに勝つことができなかったからです。そして、その後のグンの人生において、弱気になると思い出の中のヒデヨシが彼を叱咤してくれるようになるのです。
国内レーサー時代
ヒデヨシの死後、本格的にレースに挑んだグンは、どんどん頭角を表します。
ライバルも出現しますが、結局はモノが違うw。グンは順当に世界へのステップを歩むのです。
WGP時代
HONDAのワークスライダーとなったグンは、歴戦の勇士たちを驚かす天才ぶりを見せます。グンの凄まじい走りに、ファンはガン・ボーイ(名前のGUNを英語読み)と呼び、熱狂的に支持しはじめるのです。
ところが、その彼の前に、かつてのヒデヨシを彷彿させる緻密な走りを見せる、グンとは異なる質の天才(ラルフ・アンダーソン)が立ちふさがります。
YAMAHAのラルフとHONDAのグン。二人の若き天才は激しい闘志をぶつけ合いながら、各地のサーキットで戦いを繰り広げるのです。時に勝ち、時に負ける。互いに一歩も譲りません。
一進一退の攻防の末、グンは天敵ラルフを抑えて、日本人初、しかもWGP初参戦での年間ランキングトップとなり、グランプリチャンピオンの栄冠を勝ち取ります。
ストーリーをいくら語っても、どんなに内容を語り尽くしても、「バリバリ伝説」の感動を伝えることは、ほんの数パーセントしかできません。「バリバリ伝説」は、自分の目で、手にとって、じっくりと、一気に、読み通していただかないとなりません。
何度読んでも、読み返しても、同じ感動を得ることができるでしょう。
「あいつとララバイ」と比べると、「バリバリ伝説」はストーリーが明快です。研二くんのあいまいな、将来のことなんかなーんにも考えないよぉー的なフワフワ感も好きですし、公道の速さにこだわるところが気に入ってます(ただし研二くんも最後はサーキットを走ることになるのですが)。
しかし、目的に向かってひたすらにスロットルを全開にするスプリンター的なグンの生き様もまた、心に響くのです。
MotoGPではなかなか日本人が勝てない時代になってしまいましたが、テニスの錦織圭や、サッカーの本田圭佑や香川真司のように、若くして世界の桧舞台で活躍できる若き天才も増えてきました。
だから、グンの成功は絵空事とは一概に言えなくなった、と思うのです。
峠のヒーローからサーキットに舞台を移し、階段を駆け上がっていくグンの姿にカタルシスを感じてください。そして、いつか、MotoGPの世界でもグンの再来を期待しようじゃありませんか。
また、漫画の世界をみても、いたずらに複雑だったり、残虐だったりする作品が増えていますが、ストレートに成功を目指して頑張る、かっこいい若者たちの姿を描く作品がもっと出てもいい。トーマス、心の底からそう思います!