悪党集団の化学実験から偶然生まれたカメの突然変異
NYを恐怖に陥れる悪党集団「フット軍団」。どうやら日本人らしい首領、シュレッダーに率いられている。
ところが彼らを一瞬で撃退する謎の四人組が現れる。だれもその存在を信じないが、ジャーナリスト志望の美女エイプリル・オニールは彼らを目撃する。なんと四人組は人間ではない、身長180センチ以上の大きなカメなのだ。
彼らこそ、ミュータント・タートルズ。
実は彼らは、フット軍団がNYを壊滅させるための化学実験の副産物として、偶然生まれた突然変異、つまりミュータントである。
ミュータント・タートルズを目撃する美女、エイプリルの父親は科学者であり、悪事の片棒を担がされているとは知らずにフット軍団の実験を手伝っていたのだが、全てを知ってしまったため殺害されてしまう。
漫画を読むように楽しむべし
本作は、フット軍団と、彼らの悪事を止めようとするミュータント・タートルズの戦いを描いている。タートルズたちはラップが好きで、武術の達人で、ポップカルチャーを愛する、まるでいまどきの少年たちだ。物語は非常にシンプルで、ストレートな漫画的な作品だ。(というか、そもそも漫画である)
シュレッダー率いるフット軍団は、NY中に猛毒ガスを撒き散らして、大量無差別殺人を計画している。目的がよくわからないが、同時に解毒剤を開発していて、その解毒剤を売ることで大儲けを企んでもいる。そして、その解毒剤こそタートルズの血液であり、化学実験の目的であった。
面白いのは、本作はベースとして(歴史考証のまるでない)日本のサムライやニンジャなど、戦国時代のコンセプトが用いられていることだ。タートルズたちを育て、鍛え上げるのは同じくミュータントのネズミだが、タートルズたちは彼を「先生」(発音もまさにセンセイ)と呼ぶし、エイプリルのことを「保護者(ホゴシャ)」と呼ぶ(実はエイプリルが元の飼い主であるからだ)。
つまり、この作品は、よくはわからないけれど、日本的なカルチャーというか歴史が好きで(ところどころチャイニーズ的なエッセンスが混在するが)、それをSF的なストーリーにしてしまいました、というコミックであり、’1980年代のアメリカ人が、強い経済を背景に存在感を増していた当時の日本に対して持っていた、ある種のリスペクトと無知を形にしたもの、と言えるだろう。
どうあれ、アクションとCGはなかなかだ。
だから気軽に楽しんでしまえばそれでいい。
そういう映画である。
↑ 余談だが、このカワバンガ、という決め文句は、タートルたちがシュレッダーをぶっ飛ばしたときに言い放つ、とっておきのセリフである。
これは、Cowabunga、と書くのだが、Wikipediaによれば
カワバンガ(Cowabunga) とは、1960年代のサーファー文化におけるスラングの一つである。主な使用例として、サーフィンでうまく波に乗ることができたときに発せられる、「やったぜ!」などがある。
という意味だそうだ。
あまり使う機会もないだろうが、ネイティブが使うスラングとして覚えておいても損はあるまい。