乱交サークルを映像化した問題作
今日は退廃主義的に色々な示唆を与えてくれる映画として乱交サークルを映像化した「愛の渦」を紹介したい。
元々は演劇作品として評判だったものを劇作家・演出家の三浦大輔氏が二年間かけて2014年に映像作品かしたのが本作だ。
朝ドラで話題の女優の飛躍作
現在NHKの朝ドラ「まれ」で話題の女優門脇麦がヌードで濡れ場に挑戦したことでも話題になった。結果的に彼女はこの後大いに飛躍することとなった。
本編123分の作品中服を着ている時間がわずか18分30秒ということでも話題になった。
しかし実際にはこの映画にあまりエロスを求めてはいけない。この映画で抜くことは難しいだろう。
門脇麦の演技力は素晴らしいと思うが、正直濡れ場は全然ダメだ。
乱交という非日常が日常の延長にあるということ
それでもこの作品を退廃主義的には是非みて欲しいのは「乱交という非日常が日常の延長にある」ということをこの映画は教えてくれるからだ。
普通の女子にとってはどきどきな序盤だと思うが,やがてSEXが特別なことでは無いということをリアルに感じとってもらえるだろう。自分はこういうところには行かないと思いつつ,自分でもきっと乱交はできてしまうのだろうということを感じさせてくれる巧みな脚本だ。
実際の職業が明かされ,現実社会と同じもてるもてないが見えてくる中での女子同士のマウンティング,痴話喧嘩になってしまう夫婦など乱交パーティという非日常の中にやはり日常は顔を出すのだ。
それでも,女子にとって乱交パーティを成立させるものはやはりまったく知らない人,もう二度と会うことは無い男達だからこそできるSEXなんだということもこの映画はあらためて確認させてくれる。
優れた脚本をひきたてた映像のリアリティ
演劇作品としてはすでに高い評価を得ていた本作であるが,映画になる中でキャスティングもなかなかよく考えられている。中でも女性陣は中村映里子の存在感が全体のバランスを絶妙に作っている。男優としては窪塚洋介が最高だ。
演出面でもバスタオルをずっとしているのはおかしいという指摘がネット上でされているがこれも実際にハプニングバーやカップル喫茶に行ったことある人ならわかるが,にくいリアリティだ。店長がシャワーを進めるところや,店内のお菓子の小道具としての活用など実際にこれらの店を体験したことある人が確実に演出をしているはずだ。
そして何よりも象徴的なシーンは次の日の朝の太陽の光がマンションの部屋に差し込むところ。
ここで非日常は一気に日常に変わる。
それまでの非日常の乱交パーティは日常の準備をいそいそと始めるために着替えをするなさけない男女を映しだす。テレビでは朝の番組が天気や占いを放送している。
秘密クラブの淫靡な空間という非日常の舞台装置を使って日常と非日常の境界線を描いた本作は是非このコラムの愛読者には見て頂きたい。何度もこの連載コラムでは指摘しているが日常と非日常のマネジメントができる女子こそが素直なSEXライフと退廃的な人生を送れるはずなのだ。