日差しの強さにオープンカーが不評・・
長引く梅雨だが、日差しは強い日が増えた。
元来色黒の私にはあまり関係がない話だが、オープンカーを購入したせいで、隣に女性を乗せるたびに「暑い」「日焼けする」「まぶしい」と不平不満を言われることに閉口している。
かといってせっかくのオープンカーを幌を締めて走るのもごめんだ。というわけで、私は肩掛けと帽子、そしてサングラスの三点セットを用意してデートに望むことにしたのである。
ところが、肩掛けはともかく帽子とサングラスがなぜか不評だ。特にF香にはけんもほろろに駄目出しを食う始末である・・・。
知られざる巨大企業Luxottica。F香がその話を持ち出したわけとは
「ねえ、サングラスのブランド、いくつ知ってる??」F香は私に言った。
「そうだな、レイバンとかオークリーが有名かな」私は答えた。「あとはプラダとかドルチェ&ガッパーとかのハイブランドのものかな」
するとF香はかすかに首を振りながら言った。「いま口にしたブランドのサングラスが、実は全部同じ企業に作られているって知ってた?」
え?と私は言った。「どういうことだい?」
「世界の有名ブランドのアイウェアの80%は、イタリアのLuxotticaという企業が作っているのよ」
「るくそ?」
ルクスオティカ、とF香は言った。
「Luxotticaは創業50年くらいのイタリア企業なんだけど、アルマーニやブルガリ、シャネルといったラグジュアリーブランドのアイウェアのOEMをしているのよ。知られざるモノポリー企業ってわけ。そして、オークリーやレイバンや、Luxotticaに買収されて、いまでは子会社なのよ」
「知らなかったよ」と私は言った。「レイバンはボシュロムの傘下だと思っていたよ」
昔はね、とF香は笑いもせずに言った。「いまはイタリア製よ」
「しかし、それは面白いことを教えてくれたけど、なんで急にそんなことを言い出したんだい?」私は怪訝な面持ちをしてF香に尋ねた。
「それはね」F香は真顔のまま言った。「あなたが用意してくれたサングラス、レイバンの偽物だってこと。米国製でもイタリア製でもなさそうね」