「爽やかな風を感じられるクルマで誘って」に即行動

前回、F香という女性と初夏の海辺をオープンカーで走ろうという話がまとまったことをお伝えした。

画像: そうだ。オープンカーに乗ろう。大人のクルマ選びは楽しくなければ。ー前編 - LAWRENCE(ロレンス) - モーターサイクルやスポーツカー、ラグジュアリーなハイファッションをクロスオーバーさせ、新しいライフスタイルを提案します。

そうだ。オープンカーに乗ろう。大人のクルマ選びは楽しくなければ。ー前編 - LAWRENCE(ロレンス) - モーターサイクルやスポーツカー、ラグジュアリーなハイファッションをクロスオーバーさせ、新しいライフスタイルを提案します。

オープンカーで誘って。でも軽はイヤ、と彼女は言った。
5月も半ばに差し掛かり、緑は美しく陽光に映えるようになってきた。
夏はもうすぐだ。こんな季節は、クルマであってもオートバイであっても、もっとも楽しく快適に愉悦を味わえる、最高の時間だろう。
革のつなぎはきたくないが、バイクとオープンカー、どちらも最高の季節がやってきた。
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この季節こそ、オープンカーの醍醐味
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だったらどうしてドライブに誘わないのか?、とF香は言った。
「そうだね、すまなかったね」と私は素直に頭を下げた。
断っておくが、F香と私はつきあっているわけではないし、彼女にも私にもデートをする相手くらいは他にもいる。
それはそうなのだが、F香と会う時間が最近相対的には多い気がする。なにしろ、いい女だからだ。外見もさることながら、頭がよく、誤解を恐れずストレートな物言いを、確かに私は気に入っていたのだ。
「実はそろそろ車検でクルマを買い換えようと思っていたところなんだよ」と私は言った。
ふーん、とF香は少し悪戯っぽい表情をして「何買うのよ?オープンカーがいいわ。オープンカーに乗りたい」と言った。
「オープンカーね」私は腕を組んで天井を見た。実はオープンカーを買おう、と思っていたところだったのだ。心を見透かされたような気分で私は面映くなり、照れ隠しに渋い顔をしてみせた。
「季節もいいしね。オープンカー乗って海辺のテラスがあるカフェを探しましょ。早く買って誘って」と彼女は、なんとも無邪気な笑顔を見せた。
でも、軽自動車はいやよ、とF香はすぐに言い足した。「最近出た、ホンダだったかしら、軽のスポーツカーとかはいやよ」
「ホンダS660のことだな。でもなぜ?かっこいいじゃないか」と私。
仮面ライダーも車に乗る時代だから。ホンダのオープンスポーツカー S660を紹介。 - LAWRENCE(ロレンス) - モーターサイクルを中心としたカルチャーを紹介するWebメディア
我慢できずにS660を紹介・・・
ロレンスは二輪のメディア。はい、そうです。
でも、風を感じられる二人乗りの軽量スポーツ、ときけば我慢ができません・・・ 仮面ライダーさえもドライブしてしまう時代 。ヤマハだって四輪を開発しちゃう時代です。
新型オープンスポーツ「S660」発表会ライブ中継(アーカイブ)
youtu.be
どうしてもこの車を紹介したくなってしまったロレンスを許してください。
2015/3/30に正式に発表になったS660。(その模様の動画長いので、あとでゆっくり見てください)
CVT車(AT免許で乗れます)が1,980,000円〜、6速MT車が2,180,000円〜。660ccという排気量からすると、同じホンダの CBR600RR (ABS付) が1,334,880円〜 、ですから、ちょっと高い、という感じ。でも同じホンダの 軽自動車のN-BOX+ G・Lパッケージ が1,549,500円なので、そう思えばスポーツカーしかもオープンカーということを考えると安い、という感じでもあります。
馬力で見ると、S660は自主規制のため64馬力に抑えられていますが、CBR600RRは78馬力。
うーん・・・。そういう比較は子供じゃないんだからやめとけと言われそうですねw
華やかな発表会
動画では清楚なお姉さんが進行してくれます。
1962年のSPORTS 360に端を発したホンダの軽量スポーツ
2015年。42年の時を超えて生まれたのが・・・
S660。開発責任者はなんと26歳とのこと!
日本車でミッドシップなんて久しく聞きませんでした・・・。
座席と後輪の間にエンジンを置くことがミッドシップ。前後の重量バランスがよくなるので運動性能が高まります。
理想的な重心位置
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Honda S660 公式情報ページ
こちらはHonda S660の公式情報ページです。
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オートバイと同じように、若者の車離れは深刻です。
軽自動車ばかりが売れて、セダンやスポーツカーのような高級車は外国車ばかり、というのが国内自動車市場の現状ですが、そこを逆手にとって、軽自動車でスポーツカーを本気で作ってしまったホンダの気合い。
燃費も走りも、スタイリングも、買って損したとは絶対言われないできだと思います。
受け入れてくれる若者が殺到することを期待したいですね!
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あなたには似合わない、と彼女は言った。あれは若い人向けよ、と。
「いい年した大人は、大人にしか乗れないクルマを乗るべきよ。小さなボディで頑張って背伸びするのは若い男の子にはピッタリでかっこいいと思うけど、大人の男の人には、無理して若作りしているかのように見えるわ。だからイヤ」
大人には大人のオープンカー。貴族的な一面を見せるならJaguarか?
「まあ、そうだね」と私は答えた。「S660はさすがに買うつもりはないよ。20代前半だったら買ってたかもしれないし、ファミリーカーとの2台持ちならオートバイ代わりに買うものありかもだけどね」
それがいいわ、と彼女は言った。「じゃあ、何を買うの?候補くらい決めてあるんでしょう??」
値段は度外視して、とはいってもフェラーリやランボルギーニを買う予算はない。しがないフリーランスの文筆業である私にそんな贅沢は許されない。だから、それなりに身の程を知った上での選択となるが、
「いくつか候補は考えているよ」と私は言った。「まずは、ジャガーのF-TYPEはどうかな」
ジャガーFタイプのコンパチブル。¥10,510,000(消費税率8%)からだ・・・
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あら、いいじゃない、ジャガーって響きも素敵、とF香は言った。「でも、結構高そうね」
1,000万以上するね、と私が答えると、あなた、払えるの?という目で彼女は私を見たが、とりあえずそれは無視して、私は話を続けた。
F-TYPE モデル | JAGUAR JAPAN
F-TYPE CONVERTIBLEでは2つのグレードをご用意しました。それぞれに特徴があり個性は異なりますが、共通するのはその走り。真のドライビングプレジャーを実現します。
しなやかで爽快な走り、すばやい応答性、精緻で俊敏なハンドリング。 さらには洗練された実用性が融合されたF-TYPE。 F-TYPE Rは、ツーリングパフォーマンス、そしてさらに高レベルでの動的性能を提供します。
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「次はBMWのZ4。タイプとしてはジャガー F-TYPEに似ているな」でも、価格は少し安い、と私は言った。
広い価格帯が魅力のハードトップオープンカー Z4
BMW Z4 最廉価版のsDrive20iなら、車両本体価格(税込)で5,130,000円。割とリーズナブル。
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最上位モデルでも840万円くらいだから、F-TYPEと比べれば安いと思う、と私。
「F-TYPEに比べればエロさには欠けるが、君を乗せたら映えると思うな」
いいわね、と彼女は言った。「前が長いのがクラシックで好き」
BMWらしさを全開にできる直列6気筒3,000ccエンジンにツインターボをつけたタイプと、直列4気筒2,000ccの同じくツインターボがある。
BMWに乗るなら6気筒だろう、と私は言ったが、F香は眉をしかめながらエンジンのことはわからない、と首を振った。「見た目と音がよければいいわ」
BMW Z4
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BMW Z4 Roadster : Multimedia
An expression of pure driving pleasure: experience the design highlights of the BMW Z4 Roadster in the multimedia production.
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人気は一番だろうポルシェ・ボクスター
ポルシェには911タイプでもカブリオレがあって、屋根を開けることが可能だが、予算がいきなり跳ね上がる。911にこだわらない限り、ポルシェブランドでオープンカーを選ぶならボクスターというのが良い選択だろう。
ポルシェ・ボクスター
ところが意に反して「ボクスターはイヤ」とF香は言った。
昔のボーイフレンドが乗ってたの、と彼女は言う。「わたしの思い出と張り合うつもりならそれでもいいけど」
「それはなるべく避けたいな」と私は首を振った。「ボクスターは廉価版だと630万円くらいからだから、けっこうリーズナブルなんだけれどね」
ちなみに、と私は笑った。 INETERMECCANICAの356レプリカ というものあるよ、と。
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「いいけどポルシェじゃないほうがいいわね」とF香は頑固に言った。
結論はいかに??
で、どうするの?とF香は訊いた。「早く買わないと季節が変わるわよ」

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実をいうと、その翌日に私はクルマを買った。
では何を買ったのか?というと、それは彼女にあげたどの候補のクルマでもなかった。いや、正確にはブランドとして名前をあげてはいたが、その一世代前のモデルだ。

そのクルマとは、これだ。

画像: BMW Z4 E85 (2008年型)

BMW Z4 E85 (2008年型)

BMW Z4 2008年型(E85)である。

現行型のBMW Z4と比べるとより小柄だし、ハードトップではなく幌、布を張ったソフトトップだ。
側面にはZを模したエッジが刻まれており、私の美的感覚からするとやりすぎなのだが、それはそれでよしとした。

2008年、つまり7年落ちということで、かなりお得な価格で手に入れることができたのだがBMWの認定中古車の保証がついているので安心して乗れる。

いいじゃない、とF香は言った。

納車してすぐ、私は首都高速に上がり、環状線を数周回ってこのクルマに慣れた。
F香にクルマを手に入れたことを伝えると、彼女は「いいじゃない」と応えた。私が、候補として彼女に見せたどのクルマでもないことを軽く謝罪すると、そんなことは問題じゃない、とF香は言った。
「女はね、気まぐれにすぐつきあって行動してくれるオトコが好きなものよ」彼女はそう笑った。「どんなクルマを買ったかは問題じゃないわ」
でも、と彼女は続けた。「軽はいやよ。ボクスターもダメよ

わかってるさと、私は言った。

「なら、いいわ」F香は言った。「あとはいつドライブに行くかを決めないとね」
それと、と彼女は笑いながら続けた。「速攻で動いてくれたお礼に、乗せてもらうときは必ず短いスカートで乗ってあげるわ」

私が口を開こうとすると、F香は左手の人差し指と中指を私の唇に触れんばかりに伸ばしてそれを制した。

「その代わり」彼女はいたずらぽい表情で続けて言った。「歩行者にわたしの脚を見せたくなかったら、乗るときも降りるときも、あなたがドアを開けるのよ」

ジェームズ・ボンドみたいに振舞ってね、と彼女は笑い、私は黙ったまま頷くしかなかったのだった。

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