そろそろ、うっとおしい梅雨も明けて夏本番。海に山に、ツーリングやレジャーの企画を練っている方も多いでしょうね。そんな夏のミュージックといえば、レゲエが気分だなぁと思う方も少なくないはず。今回はそんな真夏の気分にお応えして、元レゲエDJでもある私のオススメレゲエミュージックをご紹介します。
レゲエシンガーといえばこの方でしょう
レゲエといえば、ボブ・マーリーを思い浮かべる方が多いと思いますが、あまりにも偉大すぎてレゲエDJとしては扱いが意外と難しいのです (^_^;)
ですので、ジャマイカン・レゲエアーティストのレジェンドとして、まずはデニス・ブラウン(1957〜1999)をあげたいと思います。1970年にジャマイカで最も有名なスタジオのひとつだった、コクソン・ドッドのスタジオ・ワンレーベルから、弱冠13歳でデビューアルバム『No Man Is An Island』をリリースし、1979年には「Money In My Pocket」が全英チャートで14位を獲得します。
1980年代以降のジャマイカレゲエでは、大きく「DJ」と「シンガー」にジャンルが別れていました。DJはいわゆるヒップホップのラッパーのように、リズムに合わせてライミングをのせるのに対し、シンガーはR & Bのようにメロディアスに歌っていました。デニス・ブラウンはその代表的なシンガーで、数々の名曲を残しています。普遍的な愛と慈しみを歌い上げるこの「Here I Come」は、クラブのフロアでダンスもので盛り上げた後に針を落とすと、そこにいる全員がハッピーな気分になるというキラーチューンのひとつでした。
ダンスホールで最強のリディム
1980年代からジャマイカレゲエは、イギリスを中心にダンスミュージックとして、世界に広まってゆきます。それまでのジャマイカ人の民族的な背景や宗教色を色濃くしていた「ルーツレゲエ」と違って、ポップス的な要素が強い「ダンスホールレゲエ」というジャンルが、世界的なクラブカルチャーで受け入れられてゆき、1990年代にはクラブミュージックとして大ブームとなります。代表的なアーティストといえばシャバ・ランクスやブジュ・バントンとなりますが、レゲエDJとしては、ハーフ・パイントとスーパー・キャットによるこの2曲が最強といわざるをえません。この曲はいずれも1968年にヴィン・ゴードンによって発表された「Heavenless」という曲のリズムをリミックスしたものですが、この時代に登場した数々のダンスホールチューンの中でも、この曲の破壊力に勝るものはありませんでした。
レゲエをポップスに昇華させたUKレゲエ
レゲエDJをやっていたなんていうと、オススメはなんですかって聞かれることも多いのですが、これが多すぎてなかなか応えられないのです。前述の2つはその中でもジャマイカレゲエを象徴するものだと思いますが、レゲエにはブリティッシュレゲエというジャンルもあって、この「UB40」は最も有名になったアーティストのひとつです。
「RED RED WINE」は全米チャートで1位になったので、ご存知の方も多いかと思います。これまで「疾走するミュージック」ではイギリスのパブロックや2トーンスカをご紹介してきましたが、UB40も当時のブリティッシュロックの流れの中で誕生したバンドなのです。そのバンド名は、イギリスの失業者給付金の申請書様式名(Unemployment Benefit, Form 40=失業給付40号様式)に由来していて、1970年代にパンクロックを生み出した、イギリスの労働者階級に支持されたレゲエバンドなのです。
この「Here I Am」も捨てがたいなぁ。
プリテンダーズのボーカル、クリッシィ・ハインズを起用した「I Got You Babe」もラブリーでポップな名曲のひとつ。これは個人的な思い出とともにグッとくるナンバーなんですよぉ (^_^)