画像1: 走る実験室を体現したユニークなバイク「Honda NR」


Honda NRをご存知でしょうか。世界のバイク史でも最もユニークなバイクのひとつではないかと思います。1992年に発売されたHonda NRは後にも先にも唯一となる楕円形のピストンを採用したV型4気筒エンジンを搭載する市販車でした。


画像2: 走る実験室を体現したユニークなバイク「Honda NR」

出典:http://www.honda.co.jp/HRC/


Honda NRに採用された楕円ピストンは1979年から1982年まで参戦したロードレース世界選手権(WGP・現MotoGP)と1987年に出場したル・マン24時間耐久レースのレースマシンのために開発された他に類をみないテクノロジーでした。これは当時、2ストロークエンジン全盛のロードレースにおいて4ストロークエンジンで勝つことができないかと挑戦した、まさにホンダの走る実験室と言うにふさわしいエンジンで、お弁当箱のような形をしたピストンには1気筒あたり8本ものバルブがついていました。これを雑誌で見た時には、素直に8気筒エンジンにしたらいいのにって思ったものでしたが、この頃のWGPでは4ストロークは4気筒までというレギュレーションがあったんですね。

2ストローク勢の高出力に対抗するために、同一排気量の4ストロークでは計算上2万rpmが要求された。8気筒であれば2万rpmも実績値の範疇にあったが、4気筒でそこまでの高回転化は実現不可能と思われていた。本田技術研究所入交昭一郎は、ある日運転中に交通信号機を眺めていて楕円ピストンを着想し、8気筒のパフォーマンスを4気筒で実現する新型エンジンの開発に踏み切った。

Wikipedia:楕円ピストンエンジン

この4ストロークにこだわるホンダの意地のようなエンジンを搭載したマシンは満を持して1992年にHonda NRとして市販されます。時はまさにバブル期で520万円という値段とともにとても話題になりましたが、実際にはほとんど売れなかったようです。この幻のバイクが走る姿はホンダが制作したプロモーションビデオで見ることができます。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=avhlQx10m-E&feature=youtu.be

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