年末の恒例企画、Lawrenceが独断と偏見? で選んだ、2025年の2輪業界にまつわる10大ニュース(順不同)。9月20日(土)、SMX=スーパーモトクロス世界選手権最終戦で、下田丈が見事250ccタイトルを獲得したのは、日本のモータースポーツ史に刻まれる偉業でした。 AMAタイトル獲得は日本人初の快挙ですが、SMXがどんなイベントなのかを理解していない人は、じつは多かったりして・・・?

SMX=AMAスーパモトクロス選手権は、2023年からスタートしました

2002年に鈴鹿市で生まれた下田丈は2016年から米国でレース活動をはじめ、2020年からAMAのSX=スーパークロスとMX=モトクロス選手権を戦ってきました。日本人ライダーがモトクロス大国である米国のAMAタイトルを獲得することは長年の業界の悲願でしたが、SMX250ccを下田が制覇したことでこの悲願は達成されたことになりました。

SMX250cc第2戦のセントルイスを走る下田丈。

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ただ日本の場合、2輪モータースポーツファンといっても、(TV観戦含む)観戦するのはMotoGPのみ・・・という方が9割(※Lawrence編集部テキトー調べ?)ですので、モトクロスに関心ある人は残念ながら少ないようであり、どうも「やったー、下田丈がスーパークロス(AMAシリーズ戦)でチャンピオンになった!」と思っている人も少なくないみたいです。

先述のとおりAMAのモトクロスは、SXとMXの選手権がそれぞれあり、2025年の下田はSX(ウェスト)で4位、MXで2位という年間成績でした(ともに250cc)。下田が制したSMXは2023年からスタートしたイベントで、2025年は第1戦シャーロット、第2戦セントルイス、最終戦ラスベガスという全3ラウンド・6レースで王者の座を争いました。

2025年SMX250cc、最終戦ラスベガス。下田はモト1を優勝、そしてモト2を2位で走り切り、見事AMAタイトルを獲得しました。

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つまり、SMXはポストシーズンレース的なイベントであり、SXとMXの成績から選手をピックして、2つのプレーオフと1つの決勝レースで250ccと450ccの両クラスの王者を決める短期決戦というわけです。ちなみに2025年のSMX450cc王者は初年度からの3連覇となったジェット ローレンス(ホンダ)であり、下田の戴冠前、過去2回のSMX250cc王者は2025年最終戦モト2で下田と死闘を演じたヘイデン ディーガン(ヤマハ)でした。

SMX Finals 250SMX Highlights | Las Vegas, NV, Strip at Las Vegas Motor Speedway | September 20, 2025

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そもそもSMXがスタートすることになった背景は・・・?

SMXの誕生は、2022年以降AMA SXが世界選手権から外れたことがその契機となりました。2002年から続くFIMとの契約が解消されたことにより、FIM側はAMAとは分離したスーパークロス世界選手権を企画することになりました。そしてFIMの世界選手権タイトルのお墨付きをAMAが失った代わりとして、2023年からのSMXは「SuperMotocross World Championship」という「世界選手権」を名乗るイベントとしてスタートしたわけです。

SMXチャンピオンプレートを表彰台で掲げる下田丈。

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まぁ野球に例えるならSMXという世界選手権は、米国内のプロリーグであるMLBが王者を決める最終決戦を「ワールドシリーズ」と呼ぶようなものですかね? 一方欧州のFIMとしてみれば長年の間の、米国のみのシリーズ戦なのに世界選手権というのも・・・という感覚もあったことでしょう。

まぁモトクロスにまつわる政治的な話とか、放映権ビジネス的な話はさておき、下田丈が日本人初のAMAタイトル獲得したことは素直に喜びたいです。過去2回、彼が帰国して全日本モトクロス選手権に出場したときは、欠かさず現地観戦している下田丈ミーハー応援団(苦笑)としては、素直に嬉しい今年の10大ニュースでした。

2022年9月、全日本モトクロス選手権近畿大会でのモトクロス オブ ネイションズ壮行会のひとこま。左から大倉由揮、下田丈、鳥谷部晃太の代表選手3名。赤丸のところ、私の寄せ書きです(苦笑)。

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