2輪車生産大国のインドで、国内市場シェア4位のメーカーであるバジャジが、とてもユニークなバイクを発売しました。バジャジ フリーダム125はなんとバイク用燃料として主流のガソリンだけでなく、主にメタンで構成されているCNG(圧縮天然ガス)を燃料として使えます! ところで、CNGを燃料に使うメリットはどこにあるのでしょうか・・・?

インドでは、すでに乗り物の燃料としてCNGが活用されています

バジャジが作っているフリーダム125は、世界初の量産CNGバイクとしてデビューしました。日本ではCNGを燃料にするICE(内燃機関)搭載車はあまり馴染みのない存在ですが、インドではCNGで走るトラックやリキシャ(3輪タクシー)がすでに広く使われており、バジャジはCNGリキシャを作っているメーカーでもあったりします。

バジャジ フリーダム125は、110,000ルピーから(≒20万円〜)のプライスタグがついており、同社の同クラスのガソリンICE搭載車より少し高価格です。しかしランニングコストの安さから、ガソリン車との販売価格差はすぐに回収できるとバジャジは主張しています。

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ガソリン燃料のICEをCNG燃料仕様にするのは、いくつかの部品や設定を変えることで可能です。そのことはコスト的に大きなメリットですが、バジャジはフリーダム125を開発するにあたり、そのエンジンを一から設計することを選んでいます。高温かつ乾燥というCNGの特性に合わせ、ピストン形状などエンジンパーツはCNG燃料に最適化して設計。また空冷の冷却フィンを大型化するなど、標準的な4ストローク125cc車より冷却性を高めているのも、フリーダム125エンジンの特徴です。

インドではCNG車がすでに使われていることは上述のとおりですが、広いインドの全土にCNGスタンドが普及しているわけではありません。そのことを考慮して、フリーダム125はCNG燃料だけでなくガソリンも併用できるように設計されています。

キー付きのカバーを開けると、CNGフィラーバルブ(黄色い丸い部分)と、2リッターのガソリン燃料タンクのフィラーにアクセスすることが可能になります。なおガソリン燃料での走行はあくまでいざという時のバックアップ手段、という設定です。

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フリーダム125の「メイン」の燃料である12.5リットルCNGタンクは筒状の形態で、重さにして2kgのCNGを運ぶことができます。最高出力は9.5ps/8,000rpm、最大トルクは9.7Nm/5,000rpm。最高速度は90.5km/hで、CNG燃料での航続距離は200kmと公称されています。

CNG燃料のタンクは、安全性を考慮して堅牢なトレリスフレームの中に収まるように設計されています。2kgのCNGは、約3,000psiの圧力で充填されています。CNGを使い切った場合は、2リットルのガソリンを使えばさらに130kmほど航続距離を伸ばすことができます。なおCNGとガソリンの燃料切り替えは、左ハンドル側のスイッチを押すだけでOKです。

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インドの環境にも、インド人のお財布にも優しいバイク!?

高圧の可燃性ガスであるCNGを充填したタンクを搭載するにあたり、バジャジはかなりハードな衝突テストおよび落下テストをフリーダム125開発時に行いました。また気密性を常に保つことが求められるCNGのバルブや配管類の設計にも、十分気を遣いました。

フリーダム125のデジタルメーター。左側がCNG燃料タンクの残量ゲージです。Bluetoothを使ってのスマホ連携機能も盛り込まれています。

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さて、あえてガソリンではなくCNGを燃料に使うことのメリットは、どこにあるのでしょうか? 地中から化石燃料としても、廃棄物由来のバイオ燃料としても、供給または製造できるのがCNGの特徴のひとつです。またCNGは化石燃料として燃やした場合、ガソリンよりもCO2(二酸化炭素)排出量を遥かに少なくすることができます。

燃焼プロセスだけでのCO2排出量は約1/4。そしてHC(炭化水素)やNOx(窒素酸化物)も大幅にガソリンより減らすことができるのは、CNGの大きなメリットです。さらにバイオ燃料CNGであれば、全体的なCO2排出量は化石由来の液体燃料の約85%まで削減できるので、より一層地球に優しい運用が可能になるのです。

スイングアームまわりの、大きな金属製ガードは日本では見慣れない装備ですが、これはインドなどの民族衣装である「サリー」を、ドライブチェーンなどが巻き込まないようにするためのガードです。

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バジャジはガソリンとCNGの価格差から、毎日フリーダム125を使えばガソリンICE搭載車と比較して最大50%の燃料コストを削減することができると主張しています。エコのために割高な費用を払うことに抵抗を感じる人は世界に多くいますが、環境にもお財布にも優しいことは積極的にその製品を選ぶことの動機になるポテンシャルが間違いなくあるでしょう。

フリーダム125はインド国内市場向けに作られた製品ですが、もしバイオCNGの有用性が今後多くの国および地域で注目されるようになれば、電動バイクや水素バイクよりも即効性のある、比較的という但し書きは付けども「地球に優しい2輪車」のあり方としてCNG燃料ICE搭載車が評価されるようになるのかもしれませんね。