今年の6月末にお伝えした、WMC250EVの続報です! 英国のR&D会社であるホワイトモーターサイクルコンセプトが生み出した電動速度記録車であるWMC250EVですが、先日2022年の本番に向けて車体各部の動作確認のための走行テストが行われました!

※WMC250EVのコンセプトおよびメカニズムについては、こちらの過去記事をご参照ください。

電動だから実現可能となった、ユニークなWMC250EVの空力車体!

一般に速度記録挑戦車は、記録更新チャレンジの大きな敵となる空気抵抗を抑えるため、ロー&ロングなシャシーを採用するのが常です。しかしWMC250EVは、ヤマハYZF-R6と同程度のシート高(850mm)を持ち、一般的なストリートバイクと同じようなライディングポジションが与えられているのが大きな特徴です。

WMC250EVのテストが行われたのは、第二次世界大戦中はRAF(英空軍)基地として、冷戦期は米空軍爆撃機基地として活用されたブランティングソープ試験場。1万フィート≒3kmの滑走路を利用した、車両用テストコースです。

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一般的なモーターサイクルのライディングポジションながら、WMC250EVはストリートバイクとしては最も空力に考慮したボディを持つスズキ隼より、70%も抵抗が少ないデザインになっています。その脅威の空気抵抗の少なさの秘密は、車体のド真ん中に大きなトンネルを備えていることにあります。

フロント側にハブセンターステアリング、リア側にスイングアームのサスペンションを採用。駆動方式は前輪ホイールインモーターと、後輪チェーン駆動の2WD方式。そして前後ホイールの間の低い位置に、バッテリーやコントローラーをおさめています。「V-AIR」と名付けられた空力トンネルは単に抵抗減のために空気を通すだけでなく、ダウンフォースを生み出す形状に設計されています。

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葉巻型などストリームライナータイプの速度記録車の車体デザインは、ストリートバイクに転用するには不向きですが、WMC250EVは一般的なライディングポジションなので、このコンセプトをストリートバイク用に使うことが可能になっています。また、WMC250EVの車体レイアウトは電動バイクだからこそ実現できるもので、ICE(内燃機関)車では実現が難しいことをする・・・というチャレンジ精神をその姿からうかがうことができます。

本番仕様の半分以下の出力で、時速170マイル≒273.6km/hを記録!

今回のテストは空力、ライディングポジション、ハブセンターステアリング、前後のスイングアームサスペンションなど、WMC250EVが設計の意図どおりに機能するかどうかを、確認するために行われたものでした。

前輪、後輪の駆動用に搭載されている4つのモーターは現状「暫定仕様」であり、60Vのシステムを用いたその総出力は100kW≒137hpとなっています。2022年の速度記録本番では、800Vの高電圧システムにより250kW≒335hpまで総出力を高める計画ですが、今回のテストの仕様でも時速170マイル≒273.6km/hを記録していました。

今回のテストはあくまで各部の作動状況確認のためであり、最高速度は評価の対象ではありませんでしたが、本番用モーターよりはるかに低い出力=137hpで、273.6km/hを記録したことは注目に値するでしょう。

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テスト中のWMC250EVを後ろから写したショット。V-AIR(空力トンネル)のユニークさが伝わる絵です。

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現時点で、2輪EV速度記録は元MotoGPライダーのマックス・ビアッジが2020年10月にヴォクサン・ワットマン(367hp)を駆って樹立した時速228マイル≒366.93km/hです。WMC250EVがターゲットとするのは、その記録のはるか上をいく時速250マイル≒402.3km/hです!

現時点のレコードホルダーであるM.ビアッジとヴォクサン・ワットマン。前後スイングアーム(ハブセンターステアリング)なのはWMC250EVと同じですが、より速度記録車的なストリームライナー型なのが特徴です。

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ちなみにヴォクサン・ワットマンも、GPS速度計が示す最高瞬間速度では時速254マイル≒408km/hを記録するポテンシャルを有しています。WMC250EVが彼らの記録を脅かすと認識したら、自らの記録更新にトライすることが予想されます・・・。

果たしてWMC250EVは2022年、見事記録更新を果たすことができるのか? ホワイトモーターサイクルコンセプト代表のロブ・ホワイトは、今回のテストで十分な手応えを得たみたいですが・・・? ともあれ、WMC250EVの挑戦に注目したいです!

WMC250EV Testing Video

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