歳をとれば誰だって体力がなくなるし、目だって悪くなる。反射神経や運動神経が衰えて、バイクに乗ることができなくなるかもしれない。主人公の老人は、そんな自分の衰えを自覚したのか、バイクを降りる決意をしたのだが、売ろうとしたその愛車を孫娘が乗りたい、という。さて、どうしたものか??
オートバイ2018年4月号別冊付録(第84巻第6号)「Let wind blows」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
オートバイ2018年4月号別冊付録(第84巻第6号)「Let wind blows」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
愛車のBRONCOを手放そうと考える老人、それを欲しがる孫娘
わたし、サエ子。弟の周一が大学受験に合格した日、じいちゃんはいつものとおり作業衣で働いていた。じいちゃんは養鶏場を経営してる。
じいちゃんの愛車はYAMAHAのBRONCOという小さなバイクだ。華奢な形と黄色いタンクが可愛くて、結構好き。じいちゃんはこのバイクに乗っては、街に出かけたり、山道を走ったりと、ちょいちょい出かけてたんだけど、寄る年波って言うの?自分で”そろそろ”と思ったのかな、そのバイクを売るつもりだなんて言うの。
その日も、午前中の仕事を終えたじいちゃんは、バイクを出してチョイ乗りにでかけようとしていた。バイク、まだまだ乗りたいんじゃん?
「ホントに売っちゃうの!?」とわたしはじいちゃんに声をかけた。
じいちゃんはなんともいえない表情でわたしを見た。じいちゃん乗らないんなら、とわたしは言葉をつないだ。「サエ子乗りたい!」
うーむ、とじいちゃんは首をかしげる。「かあちゃんに怒られんね」
「平気だってばあ!」わたしはさらに言った。わたしが乗っていれば、いつかじいちゃんがどうしても乗りたくなったら乗れるし、むしろわたしが乗っけてあげることだってできるでしょ。いいアイデアだと思うんだけどな。
ね、じいちゃん?
歳をとればいつかはバイクに乗れなくなるかも。
そのとき、あなたならどうする?