岩明均原作・山崎貴監督の映画『寄生獣』の前編、を観た。
僕は何を隠そう(隠したことはないが)原作の「寄生獣」の大ファンであり、コミックは全巻持っている。同作品だけではなく、岩明均先生の作品はだいたい持っていて、最近ではアレキサンダー大王の書記官の人生を描いた「ヒストリエ」にはまっている。
その意味で、「寄生獣」の映画化は期待と不安が入り混じる感情で見始めた。コミックを原作にした映画化はファンからするとかなり難しい部分があって、思い入れが強ければ強いほど些細な矛盾が許せないし、「そこ、違う」「わかってない」という小さな怒りを覚えてしまうからだ。
また、実際コミック原作の映画の多くは(特に日本製は)ファンを激怒させんばかりの駄作になったものも多い。
もちろん、「テルマエロマエ」や「るろうに剣心」のように商業的にも内容的にもコアファンにも受け入れられた作品も多いので、先入観を持たずに観ようと僕はBlu-ray Discをセットしたのだ。
”ほぼ”、原作通りの設定と進行
最初に違和感があったのは、海から寄生生物(パラサイト)が上陸してくるという設定。原作は雨とともに空から降ってくる。
空から降ってくるということは、どこからやってきたんだ?と疑問を持つが、海からなら深海の未知の生物なのか?という納得がいくと考えたのだろうか?
しかし、そのどこからきたのかわからない(パラサイトたち自身にもわからない)という部分こそが、本作のテーマの一つなのだ。岩明先生の作品の多くは、生の起源というか自分たちのルーツを探し求め、自分たちは果たしてどこからきて、何者なのか、というテーマをストーリー展開に深く絡めているものが多い。
だからそこはちょっと残念に思ったが、それ以外の進行はほぼ原作通りに進んだ。
(もう一つ原作と違うのが、主人公泉新一を母子家庭にしたことだ。これがなぜなのか、ちょっと僕にはわからなかったが、なにもかも原作どおりに作る必要は、ない)
配役も技術も世界観を再現
CGというかSFXには文句がない。
もちろんハリウッドの超大作には見劣りするが、それでも十分に「寄生獣」の世界を再現していると思う。
主人公の泉新一を演じる染谷将太さんには鈍重さがあって最初は不満だったが、話が進行するにつれて、その確かな演技力で、新一そのものになっていたと思う。
総じて映画『寄生獣』は 成功 している、と思う。
少なくととも出来としては先に成功例としてあげた「るろうに剣心」なみにはうまくいっている。
完結編でがっかり、という事態もなくはないだろうが、とりあえず次のBDが来るのを待っている。
(待っている、というのは、僕がレンタルDVD・CDサービスTSUTAYA DISCAS)を使っているからだ。週に2枚、借りては返し、継続的に観ることになるので年間100本は観ることになる。だから、1/100というタイトルになるのだ)