量産車ベースの耐久レースは、欧州を中心に人気があるイベントです。2015年度の世界耐久選手権は、フランスのルマンとボルドール、日本の鈴鹿、そしてドイツのオッシャースレーベンの4戦ですが鈴鹿の8時間耐久を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?

スラクストン耐久は1955年からスタート

世界耐久選手権の前身は、欧州FIMエンデュランスカップですが、初成立した1960年のコースはフランスのボルドール、スペインのモンジュイ、ベルギーのヴァルサージュ、そして英国のスラクストンでした。

スラクストン500マイルのスタートシーン

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アンドーバーのスラクストン飛行場を利用した2.76マイル(4.44km)のコースで行われたスラクストン500マイルは、そもそも9時間耐久でした。9時間というのは、日没で夜にならない時間枠から設定されたものです。500マイルと距離で区切られるのは1958年になってからでしたが、2名1組、ひとりが連続して走れるのは2時間まで、というルールは不変です。

最初の500マイルとなった1958年を制したのは、マイク・ヘイルウッド(写真)とダン・ショーレイ組

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市販車そのもので競われるスラクストン500マイルは、市販車最速を決めるレースとしても観衆に注目されていたので、メーカーも力を入れていました。1965年にトライアンフは、このレース用の戦略車として「スラクストン・ボンネビル」を少数製造しています。トライアンフの現行車のスラクストンは、これをモチーフにしているわけです。

1964年アールズコートショーに出展されたスラクストン・ボンネビル

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サーキットとして路面状況が適さないという判断から、1965年はキャッスル・コム、1966〜1968年はブランズハッチに舞台を移しましたが、その後は最後となった1973年までスラクストンを会場に戻します。英国製市販車の性能向上にも寄与したスラクストン500マイルですが、英国2輪産業の衰退とともに終焉することになったのです。

英国車だけでなく、欧州車、日本車も活躍

英国車が中心だったスラクストン500マイルですが、650cc、500cc、350cc、250ccとクラス分けされていた中で、BMWやドゥカティなどの欧州車、そしてホンダCB72やスズキT500などの日本車も活躍しています。

British Pathé

こちらの無声動画ですが・・・レースが始まるのは10:00からですので、そこまで飛ばしてください(苦笑)。ホント音がないのが残念ですが、公道車然としたマシンが全力疾走する姿や、ピットインしての給油やライダー交代のシーンを楽しめます。

British Pathé

一方こちらの動画はちゃんと?音が出ますし、色までついています(笑)。英国の俳優のリチャード・ワイラーがグリーブス2気筒で250ccクラスに参加している様子を追ったものですが、ホンダCB72やアリエル・アローなどの姿も見ることができます。

サイドウェイトロフィーで「スラクストン」を再現する試み!

今年の5月17日(日)には、Festival of SIDEWAY TROPHYが、千葉・袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されますが、英国単気筒グランプリ&クラブマンモデルによる「マンクストロフィー」、1969年までに生産されたロードレーサーによる「ヴィンテージツーリストトロフィー」、そして走行会の「カフェレーサートリビュートラン」に加え、「スラクストントロフィー」が新設されます。

スラクストントロフィーの狙いはそのものズバリ、1960年代に盛り上がりをみせた「スラクストン500マイル」を現代に再現するものです。また公道車のサイレンサー装着を義務付けているため、袖ヶ浦フォレストレースウェイの「騒音問題」を回避することも目論んでおります。

ホンダCB72のスラクストンレーサー

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ビル・スミスとジョン・ハートルが1961年にライディングしたCB72

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5月大会で6度目になるFestival of SIDEWAY TROPHYですが、今までは高回転で騒音規制内に抑えることが難しいという理由から4ストロークのホンダ車の参加が認められませんでしたが、今年からはスラクストントロフィーに参加できる道が開かれました。

またスラクストントロフィーは、普段乗っている公道用クラシックにナンバー3面装着し、オイルドレンボルト類にワイヤリングすれば参加できる気軽さも魅力です。トランスポーターなしで、自走参加しても大丈夫です。

新設初年度はどんな参加車両が来るのか・・・楽しみですね。ロレンス編集部の宮崎もノートンで参加予定です。イベントの詳細やエントリー方法は、Festival of SIDEWAY TROPHY主催者にお問い合わせください。

昨年秋のFestival of SIDEWAY TROPHY、マンクストロフィーに参加の宮崎(105番)