真菜は19才。
友達といても感じる退屈から逃げ出して、湘南に一人で出かけたものの、結局退屈から逃れることはできない。なぜ退屈を感じるようになったのか、それは分からない。何も理由はないのである。
しかし、理由なく訪れる 十代の退屈 は深刻だ。本来、どんなことでも新しい体験は待っているし、刺激的な遊びも知的な喜びも、そこらじゅうにあるはずなのに、感じてしまう退屈。
それは日常に倦む停滞感。時間が経てば解消するものであることが多いが、1日が長い若い時期には、それは恐ろしく苦痛である。
少女の退屈を吹き飛ばした黒い風。
そんなとき、真菜は出会うのだ。一陣の黒い風に。
そう、黒くて、角ばった、巨きな風である。
真菜の目前に現れ、一瞬で消えていったのは、カワサキのZ1-RIIだった。
真菜は一瞬で恋に落ちる。
オートバイに興味があったわけでもないし、ヘルメットに隠された乗り手の男の顔もわからない。しかし、恋をしたのだった。やっぱり理由なんてないのである。
そして、真菜は自分の前を駆け抜けた黒いオートバイと、男を探し始める。果たして、彼女は自分の退屈を吹き飛ばしてくれた”恩人”に出会えるのか?彼女の恋の行方は??
実は女子ウケの悪い?Z1-RII
『Go with your Heart』はRIDE84に掲載されている。
本作では可愛くて若い女の子がZ1-RIIに一瞬で心を奪われるが、実際のところ、僕の周囲ではこのバイク、女子ウケはあまり良くない(苦笑)。
どうもあまりにいかつくて、近寄りがたいというか、昭和の不良に通じるような男臭さ全開なところを敬遠するようだ・・・。
たしかにこのバイク。角ばっていて、でかくて、ビキニカウルも物々しくて、確かにオトコクサイw
でもそこがたまらない、と身悶えする男たちは実に多いのだ。上等だよ、わかってくれなくて結構だ、と思わず啖呵を切りたくなるじゃないか(笑)そういうバイクなのだ。
販売台数こそ思ったほどの成果は挙げられなかったものの、Z1-Rはカワサキが作ったメーカー純正カフェレーサーとして歴史に名を刻むことになるのである。 - text 中村浩史
ロレンスでも以前取り上げている記事の人気も高い。
女受けは悪くたっていい、俺たちが惚れていればそれでいいのさ。わかるやつにだけわかれば、それでいいんだよ。それがこのバイクの真骨頂なのだと思うよ。