1月20日、ホンダは米GM=ゼネラルモーターズとの合弁会社であるFCSM=フューエル セル システム マニュファクチュアリング LLCにおいて生産している燃料電池システムが、2026年度中に生産終了することをリリースで明らかにしました。2050カーボンニュートラルに貢献できそうな技術のひとつとして注目される水素燃料電池ですが、普及が進みつつあるEVと比較すると、水素燃料電池車の前途は多難といえるでしょう・・・。

2025年10月10日、パートナーのGMは次世代水素燃料電池開発の終了を発表・・・

1月20日のホンダのリリースの内容は、2025カーボンニュートラル関連ニュースを日々敏感に収集している人にとっては、何の意外性もないものだったでしょう。2025年10月10日、ホンダに先駆けてGMはハイドロテック ブランドによる次世代水素燃料電池開発の中止を発表。またFCSM LLCによる水素燃料電池生産終了も、同時に公表していました。つまりホンダの発表内容の半分は、すでにGMが昨秋すでに明らかにしていたことでした・・・。

画像: FCSM LLCが作った水素燃料システム、「ハイドロテック パワーキューブ」。出力77kWの気体水素を燃料とする電池で、1kgの水素を15kWhの電力にすることを可能としていました。FCSM LLCは2017年1月に米ミシガン州に設立された、燃料電池システムを生産する自動車業界初の合弁会社でした。 poweredsolutions.gm.com

FCSM LLCが作った水素燃料システム、「ハイドロテック パワーキューブ」。出力77kWの気体水素を燃料とする電池で、1kgの水素を15kWhの電力にすることを可能としていました。FCSM LLCは2017年1月に米ミシガン州に設立された、燃料電池システムを生産する自動車業界初の合弁会社でした。

poweredsolutions.gm.com

ホンダの発表内容の残り半分は・・・今後はホンダ独自開発による次世代燃料電池システムの活用を進めていく、という内容でした。昨秋、GMはキッパリとEV方面に資本集中させる予定、という切り替え策を公表しましたが、ホンダは水素燃料電池の可能性を諦めることなく、今後も続けていくという意思を示したわけです。

水素燃料電池車の普及は、まだまだ先のことになりそう・・・?

水素は、バックアップ電源、鉱業、大型トラック輸送といった需要の高い特定の産業用途において有望視されていますが、燃料電池事業の持続可能な実現への道のりは長く、不確実です。米国では、コストの高さと水素インフラの不足により、燃料電池自動車の普及が制限されています。米国エネルギー省によると、全米で水素燃料補給ステーションはわずか61か所であるのに対し、レベル2以上の高速充電ステーションは25万か所以上あります。

上は昨年秋のGMのリリースの引用ですが、燃料としての水素のコスト高、商業化に欠かせない水素インフラ不足という現状に対し、GMはこれ以上の水素燃料電池への投資は無駄という判断を下したわけです。DOEこと米エネルギー省は「水素ショット」という、2031年までにグリーン水素のコストを化石由来燃料に対抗可能な1米ドル/kgまで引き下げる目標を掲げていますが、これは現状5〜7米ドル/kgという事実とのギャップを考慮すると、なかなか実現が難しそうな目標といえるでしょう。

なお英ロンドンに本拠を置く、世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、ニッチな用途を通じてグリーン水素の需要の伸びは2030年まで緩やかに続き、需要の伸びは2030年以降、特に2035年から加速する・・・と分析しています。

またPwCは2050年までに再生可能資源が多い中東の一部地域、アフリカ、ロシア、中国、米国、豪州ではグリーン水素生産コストが1〜1.5ユーロ/kg、そして欧州の大部分、日本、韓国など再生可能資源が限定的な地域では約2ユーロ/kgになる、と予測しています。

画像: これまでホンダは、FCX(2002年、写真)やFCXクラリティ(2008年)、そしてクラリティ フューエルセル(2016年)などの水素燃料電池車を具現化させてきました。GMと袂を分かったホンダが、どのような次世代燃料電池技術を実現するのか、期待してその時を待ちたいです。 smart-mobility.jp

これまでホンダは、FCX(2002年、写真)やFCXクラリティ(2008年)、そしてクラリティ フューエルセル(2016年)などの水素燃料電池車を具現化させてきました。GMと袂を分かったホンダが、どのような次世代燃料電池技術を実現するのか、期待してその時を待ちたいです。

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そもそもグリーン水素は電気分解により、大量の電気を水素に変換して貯蔵するエネルギーといえます。じゃあ、そのまんま電気を使えばいいじゃん!! ということで、エネルギー効率の面で自動車の世界では燃料電池車よりもEVの方がはるかに有望視されており、各国のメーカーの資本投入もEV関連技術の方に偏っているわけです。

ただ製鉄、長距離海運や航空、そして大規模エネルギー貯蔵など電化による代替が難しい分野では、水素の特性が活かせると考えられています。まぁそれはさておき? 乗り物好きとしては自動車用動力の分野における、電化以外のオルタナティブとしての水素の可能性に今後も注目していきたいですね!

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