アジア圏の2輪の話題というと、電動関連の話が多いですが・・・
2017年に中国の重慶に設立された新興メーカーであるKOVEといえば、オフロードのイメージが強いです。しかしKOVE公式サイトをご覧になればわかるとおり、ネイキッドの250R、350R、450R、そしてフルフェアリングを備えたスポーツモデルの250RR、350RR、450RRと、しっかりオンロードスポーツのモデルもラインアップしています。
スポーツモデルのプロモーションを兼ねて、KOVEは2023年度よりSSP300に参戦していたのですが、2024年度には中国ブランドとして初のSSP300優勝を達成。2025年度はカワサキ15台、ヤマハ12台、KTM3台というライバル勢を打ち負かし、中国勢初のウィナーマシンとなりました!

2025年SSP300第6戦アラゴンラウンド、ゼッケン7のKOVEを走らせるB.ヘルナンデス。
2025年、ヘルナンデスとKOVEのコンビは5度のベストラップ更新、3位2回、2位2回、そして優勝3回という安定した成績を残し、日欧メーカーを相手に中国勢初のタイトル獲得に成功しています。
FIM統括のモータースポーツで、日欧米以外のメーカーがタイトルを獲得した先例としては、2024年にロス ブランチがインドのヒーローに2024年FIM世界ラリーレイド選手権プレゼントしたことがありますが、ロードレースの分野においてはKOVEのSSP300制覇が初の快挙となります。
何が一番驚いたって、日本語のメジャーなウェブ記事でこのタイトル獲得レポートがないことです?
中国勢初の快挙・・・ということは十分2025年10大ニュースに値すると思うのですが、個人的に一番びっくりしたことは、KOVEがSSP300を制覇したことを伝える日本語のメジャーなウェブメディアの記事が、現時点で皆無!! ということです。

2025年12月29日23:37分現在の、Google検索(日本語のページを検索)の結果です。一番上にLawrenceの記事、次に輸入販売元であるKOVE MOTO JapanのFacebook、そしてWikipediaのスーパースポーツ300世界選手権の項・・・が続きます。
SSP300よりも世界選手権としてのステータスははるか上なので比較対象にあげるのはおかしいのかもしれませんが、1959年に世界ロードレース選手権(現MotoGP)のマン島TT125ccクラスで初参戦のホンダが6位入賞したときは、英国をはじめとする海外の2輪メディアがその偉業を記事中で讃えました。

1959年、マン島TT125ccクラス6位入賞の谷口尚巳と、ホンダRV142(空冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ)。
www.honda.co.jpMotoGPに比べるとかなり人気のないSBK(世界スーパーバイク選手権)の、併催イベントであるSSP300にあまり日本人が関心を示さないのは仕方ないことなのかもしれませんが・・・。ただ、日欧米との交流が歴史的に少なかった中国勢のKOVEの話題ということもあり、日本に限らず海外のメディアもこの快挙の詳細について触れている例がほとんどないのが実情ではあります。
なお2026年から新設されるFIMスポーツバイク世界選手権に、最後のSSP300王者となったB.ヘルナンデスとKOVEは共に参戦することが明らかになっています。もしこの新分野でもKOVEが活躍すれば、きっとKOVEのロードレース活動に関する報道量も、世界的に増えることになると思われます。FIMスポーツバイク世界選手権に参加するKOVE 450RRの、2026年の活躍ぶりにひとまず注目したいですね!

