2025年2月から、インド国内でデリバリー開始とのことです
2024年11月、ホンダはインド市場専用モデルである電動スクーター、ACTIVA e:(アクティバ イー)とQC1(キューシーワン)の2機種を発表しました。
「ACTIVA e:」はインド市場で人気のICE(内燃機関)搭載スクーター、アクティバの電動版と呼べるモデルであり、動⼒⽤電源にホンダの交換式バッテリーであるHMPP e:(Honda Mobile Power Pack e:)を2個使⽤し、自社製ホイールサイドモーターを駆動させるユニットスイング方式を採用しています。
モーターの定格出力は4.2kWで、最大出力は6.0kWとのこと。走行モードはスタンダード、スポーツ、エコノミーの3つから選べ、駐車時などの取りまわしに便利なリバースモードを使うことも可能です。気になる航続距離は、 IDCモードでのホンダのテスト値で102kmだそうです。
もうひとつの「QC1」はHMPP e:ではなく、車体固定のバッテリーを使っているのが特徴です。経済性重視の機種という設定ですが、シート下にHMPP e:を収納する必要がないため、シート下を26リットル容量のトランクスペースにあてがうことを可能にしています。
QC1のバッテリーは、0〜80%充電に4時間半、フル充電に6時間50分を要するとのこと。ライディングモードはスタンダードとエコノミーの2つですが、最高速は50km/hとかなり遅めに思えます。交換式バッテリーのため充電時間に関するストレスがなく、最高速80km/hを発揮するACTIVA e: の方が、やはりパフォーマンス的には段違いに上といえるでしょう。
なおHMSI(ホンダ モーターサイクル アンド スクーター インディア)のリリースによると、ACTIVA e:とQC1は2025年1月1日から予約を開始し、翌2月以降から順次デリバリーを開始するとのことです。
ACTIVA e:をインド市場で売るために欠かせないのが、HMPP e:交換ステーション網の整備でしょう。現地法人のHEID(ホンダ パワー パック エナジー インド プライベート リミテッド)は、ベンガルールとデリー首都圏に「Honda e:Swap」の名でバッテリー交換サービスをすでに開始しており、間もなくムンバイでもサービスが開始される予定です。
そのため上記のインドの主要3都市では、ACTIVA e:のユーザーは問題なくバッテリー交換サービスを利用することができるでしょう。ちなみにACTIVA e:とQC1は、2030年までにグローバルで電動モデルを30機種投入するというホンダの目標における、12機種目と13機種目になります。
2030年に2輪新車販売のEV率8割を目指すインド!!
一方ホンダのライバル・・・交換式バッテリーを採用する電動スクーターの「現時点の在り方」を定義したといえる先駆者的台湾企業のGogoroは、2021年春からインド市場開拓に向けて各種提携を結び、着々と進出の準備を進めてきました。
そして2023年12月にはインド市場初登場となるバッテリー交換式スクーターの「クロスオーバーGX250」を発表するとともに、デリーとゴア、そしてプネとムンバイにバッテリー交換ステーション網を整備することを明かしました。
JETRO(日本貿易振興機構)のレポートによると、インドの2022年度の国内販売実績は1,586万台と、コロナ禍による低迷から回復基調にあり、今後も伸長していくと予想されています。また2023年11月のスクーター販売のデータを見ると、トップ10のなかにOlaのS1、TVSのiQube、そしてバジャジのチェタックと3機種も電動モデルが入っています。
インド政府はEV拡大支援を政策として進めており、2030年の2輪新車販売の8割!! をEVにする目標を立てています。2023年実績は約63万台でこの数は2輪販売全体の約4%というものですが、政府方針に従って電動モデルの比率は年々上昇していくことになると思われます。
インドはガソリンが結構高いので、信頼性の高い高品質なバッテリー交換式電動スクーターは、ランニングコストが低い便利な乗り物として支持される可能性は高いです。ホンダとGogoroがサービスで競争することでコストがおさえられれば・・・言うまでもなく喜ぶインド人ユーザーも多いでしょう。
インド市場のスクーターセグメントにおいて、トップの地位につくHMSIは56%という高いシェアを占めています。このスクーター市場における優位性を「電動時代」においても守り続けるため、ACTIVA e:とQC1は電動化戦略の先兵としての責任が重大なモデルといえます。来年以降、インド市場がどのような発展をするのか、注目したいです!