最高峰クラス以外では、外国車が優勝した前例はありましたが・・・
1960年代以降、世界をリードすることになった4大バイクメーカーを擁する日本ですが、その日本を舞台にする全日本ロードレース選手権は長年これら4メーカーが送り出すファクトリー車、市販レーサー、そして公道車改造車が中心となって歴史をつむいできました。
しかしその例は少ないですが、優れた外国製市販レーサーを用いて上述の状況の打破を試みたチームも存在します。1970〜1980年代には、モリワキや月木レーシングがMBA(モルビデリ)を125ccクラスで走らせたり、1990年代にはチームデイトナがアプリリアRSV250Rで大活躍したことを、古くからのモータースポーツファンのなかにはご記憶の方もいらっしゃるでしょう。
ただ、500cc、スーパーバイク、そしてJSB1000といった歴代最高峰クラスでは、日本車勢の牙城を崩すことはありませんでした。最高峰クラスは各メーカーが特に威信をかけて取り組んでいることもあって、外国車優勝という前例がなかったのはある意味当然のことといえたかもしれません。
今シーズン開幕前、Ducati Team KagayamaはJSB1000クラスに、ファクトリー車のドゥカティ パニガーレV4Rを参戦させることを発表し、モータースポーツファンを大いに驚かせました。
今シーズンのJSB1000クラスは、ヤマハファクトリーの中須賀克行と岡本、そしてドゥカティの水野が常に表彰台争いを繰り広げ、ホンダCBR1000RR-Rのキット車を駆る野左根航汰(Astemo Honda Dream SI Racing)がファクトリー車3台にからむ奮闘ぶりを魅せる様が、毎戦のように展開されました。
Ducati Team Kagayamaは鈴鹿8耐にもパニガーレV4Rに参戦(4位)。そして全日本後半戦最初の第5戦(モビリティリゾートもてぎ)、ついにポール トゥ ウィンで水野は最高峰JSB1000クラスにおける史上初の外国車優勝という快挙を成し遂げました。
そして最終戦となった第56回MFJグランプリ(鈴鹿サーキット)では、レース1および2で見事なマネジメント力を発揮して2連勝を記録。シーズン3勝で年間ランキング3位を獲得しました。
加賀山就臣監督は、ヤマハ以外の3メーカーも全日本でファクトリー活動をしてほしい!! とハッパをかける意味を込めて外国車のドゥカティで参戦したわけですが、ロードレースブーム、レーサーレプリカブームだった1980年代から1990年代前半の時代のように、全日本の成績が販売に強く影響した・・・とはいえない今、氏の願いに各メーカーが応える可能性は低いかもしれません。
ただ全日本を盛り上げるというDucati Team Kagayamaの意図については、非常に素晴らしい成果をあげたという評価に異論をはさむ者はいないでしょう。来シーズンも、その活躍ぶりを期待したいです。