2050年に関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを実現することを目指しているホンダが、巨大市場であるインドに電動スクーター2機種を投入することを明らかにしました。今回公表されたリリースによると、2025年2月以降にその販売が開始されることになりそうです。

昨年の話では、2024年3月までに出る・・・ということでしたが・・・?

2023年1月、LawrenceはHMSI(ホンダ モーターサイクル アンド スクーター インディア)が2024年3月までに、電動モデルをインドで発売する予定であることを明かした・・・というニュースを報じました(ご記憶でしょうか?)。

どのような事情でそのスケジュールが遅れたのかは定かではありませんが、2024年の終わりが近づいてきた今になって、ホンダは正式にインド市場専用モデルである電動スクーター、ACTIVA e:(アクティバ イー)とQC1(キューシーワン)の2機種を発表しました。

「ACTIVA e:」は2023年1月のニュースでお知らせしたとおり、インド市場で人気のICE(内燃機関)搭載スクーターのアクティバの電動版と呼べるモデルでした。動⼒⽤電源にホンダの交換式バッテリーであるHMPP e:(Honda Mobile Power Pack e:)を2個使⽤し、自社製ホイールサイドモーターを駆動させるユニットスイング方式のモデルになっています。

画像: 年間約250万台を販売する人気ICE搭載スクーターのアクティバのボディーおよびフレームをベースに、電動スクーターとしてまとめ上げられた「ACTIVA e:」。スマホとのコネクテッド技術で、通話やナビ機能を利用できるHonda RoadSync Duo®を装備するタイプも設定されるとのことです。  global.honda

年間約250万台を販売する人気ICE搭載スクーターのアクティバのボディーおよびフレームをベースに、電動スクーターとしてまとめ上げられた「ACTIVA e:」。スマホとのコネクテッド技術で、通話やナビ機能を利用できるHonda RoadSync Duo®を装備するタイプも設定されるとのことです。

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モーターの定格出力は4.2kWで、最大出力は6.0kWとのこと。走行モードはスタンダード、スポーツ、エコノミーの3つから選べ、駐車時などの取りまわしに便利なリバースモードを使うことも可能です。気になる航続距離は、 IDCモードでのホンダのテスト値で102kmだそうです。

2023年1月時点の、HMSIのマネージングディレクターで社長兼CEOの尾形淳史氏のお話では、「電動アクティバ」は当初交換式バッテリーを採用しない仕様という予定でしたが、結局のところすでに国内外で実績を積みつつあるHMPP e:を採用することになったようです。あくまで推察の域を出ませんけれど、この方針変更がインド市場投入時期が後ろにズレたことの原因のひとつなのでしょう。

画像: ACTIVA e:のシート下に搭載された、交換式バッテリーのHMPP e:。 www.honda2wheelersindia.com

ACTIVA e:のシート下に搭載された、交換式バッテリーのHMPP e:。

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電動モデル第一弾と第二弾を、間を置くことなく投入することに!

また、電動アクティバ発売後に電動第二弾として交換式バッテリー採用モデルを登場させると2023年1月の時点では語っていましたが、もうひとつの電動モデルである「QC1」は結局、ACTIVA e:と同時期にインド市場に投入することになりました。

画像: 定格出力1.2kW、最大出力1.8kWのインホイールモーターを採用する「QC1」。バッテリーは1.5kWの固定式で、専用充電器を使っての家庭でのチャージを可能にしています。航続距離は、IDCモードでのテスト値で80kmと公表されています。 global.honda

定格出力1.2kW、最大出力1.8kWのインホイールモーターを採用する「QC1」。バッテリーは1.5kWの固定式で、専用充電器を使っての家庭でのチャージを可能にしています。航続距離は、IDCモードでのテスト値で80kmと公表されています。

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公表されているQC1の仕様で気になるのは、HMPP e:ではなく車体固定のバッテリーを使っていることでしょう。整理すると、QC1こそが2023年1月に予告された第一弾の電動アクティバであり、ACTIVA e:が第二弾にあたるHMPP e:採用モデルと理解するのが自然でしょう。そして2023年1月時点で考えていた予定はナシ!!ってことにして、両機種のインド市場投入のタイミングは同時にすることになったわけです。

QC1は経済性重視の機種という設定ですが、シート下にHMPP e:を収納する必要がないため、シート下を26リットル容量のトランクスペースにあてがうことを可能にしています。保管場所からそんなに遠くまで足を伸ばさないと使い途を割り切れば、上級版のACTIVA e:よりもQC1の方が使い勝手は良いかもしれませんね?

QC1の固定式バッテリーは、0〜80%充電に4時間半、フル充電に6時間50分を要するとのこと。ライディングモードはスタンダードとエコノミーの2つですが、最高速は50km/hとかなり遅めに思えます。交換式バッテリーのため充電時間に関するストレスがなく、最高速80km/hを発揮するACTIVA e: の方が、やはりパフォーマンス的には段違いに上といえるでしょう。

なおHMSIのリリースによると、ACTIVA e:とQC1はHMSI初の電動モデルとして、2025年1月1日から予約を開始し、翌2月以降から順次デリバリーを開始するとのことです。

画像: QC1のシート下トランクスペース。ヘルメット収納可能なのは、実用的でありがたいですね。 www.honda2wheelersindia.com

QC1のシート下トランクスペース。ヘルメット収納可能なのは、実用的でありがたいですね。

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インド市場でのホンダ対Gogoroの、仁義なき戦い? に注目しましょう!

ACTIVA e:をインド市場で売るために欠かせないのが、HMPP e:交換ステーション網の整備でしょう。現地法人のHEID(ホンダ パワー パック エナジー インド プライベート リミテッド)は、ベンガルールとデリー首都圏に「Honda e:Swap」の名でバッテリー交換サービスをすでに開始しており、間もなくムンバイでもサービスが開始される予定です。

そのため上記のインドの主要3都市では、ACTIVA e:のユーザーは問題なくバッテリー交換サービスを利用することができるでしょう。ちなみにACTIVA e:とQC1は、2030年までにグローバルで電動モデルを30機種投入するというホンダの目標における、12機種目と13機種目になります。

2023年1月のニュース・・・HMSIの尾形氏が語った予定が大きく変わることになった背景には、この分野における最強のライバルの動向の影響があったのかもしれません。交換式バッテリーを採用する電動スクーターの「現時点の在り方」を定義したといえる先駆者・・・台湾企業のGogoroは2021年春からインド市場開拓に向けて各種提携を結び、着々と進出の準備を進めてきました。

そして2023年12月にはインド市場初登場となるバッテリー交換式スクーターの「クロスオーバーGX250」を発表するとともに、デリーとゴア、そしてプネとムンバイにバッテリー交換ステーション網を整備することを明かしました。

画像: Gogoroのインド市場戦略モデルであるクロスオーバーGX250は、インドのマハーラーシュトラ州の工場で生産される、インド市場のニーズに最適化したバッテリー交換式電動スクーターです。 www.gogoro.com

Gogoroのインド市場戦略モデルであるクロスオーバーGX250は、インドのマハーラーシュトラ州の工場で生産される、インド市場のニーズに最適化したバッテリー交換式電動スクーターです。

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交換式バッテリーの標準化を目指す欧州コンソーシアムこと、SBMC=スワッパブル バッテリー モーターサイクル コンソーシアムの規格がなかなかまとまらない以上、SBMCとは距離をとる大手のGogoroに対してホンダはインドという巨大市場で、自らが育ててきたHMPP e:を活かして戦うのが現状の唯一の選択肢です。

インド市場のスクーターセグメントにおいて、トップの地位につくHMSIは56%という高いシェアを占めています。この優位性を「電動時代」においても守り続けるため、ACTIVA e:とQC1はその魁としての責任が重大なモデルといえるかもしれません。2025年は、Gogoroとホンダの間でどのような熾烈なシェア争い合戦が繰り広げられることになるのか・・・注目したいですね!

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