11月5日、スウェーデンのGoCimo(ゴーシモ)とホンダは、欧州市場向けのステーションベースのバッテリー交換システムの共同テストをすることを公表しました。テストはスウェーデンで3番目に人口が多い、最南部のスコーネ地方の都市マルメで行われ、3台のバッテリー交換ステーション(Honda Power Pack Exchanger e:)、60個のバッテリー(Honda Mobile Power Pack e:)、そして30台の電動スクーター(EM1 e:)を使い、1年間の期間続くとのことです。

ホンダによるバッテリー交換サービスは、これで5カ国目。欧州では初です。

ホンダは今まで、日本、インド、インドネシア、タイでバッテリーシェアリングサービスを展開しておりましたが、今回のスウェーデンでの実証実験開始によって5カ国目となります。ホンダと組むGoCimoは、配送および輸送業界のCO2排出量増加と交通渋滞に対処するために2022年に設立された企業で、スウェーデン最大都市のストックホルム(5箇所)と2番目に大きな都市であるヨーテボリ(4箇所)にてバッテリー交換サービスを運営しています。

画像: GoCimoがストックホルムおよびヨーテボリで展開中の、バッテリー交換サービスで使われている電動スクーターと交換ステーション。この組み合わせは交換ステーションサービスの先駆である台湾のGogoroが生み出した、「スワップ アンド ゴー」の概念に準じる内容であり、その点ではホンダのサービスも一緒です。なおステーションと車体にある「GoCiklo」の名は、GoCimoの旧社名です。 www.gocimo.com

GoCimoがストックホルムおよびヨーテボリで展開中の、バッテリー交換サービスで使われている電動スクーターと交換ステーション。この組み合わせは交換ステーションサービスの先駆である台湾のGogoroが生み出した、「スワップ アンド ゴー」の概念に準じる内容であり、その点ではホンダのサービスも一緒です。なおステーションと車体にある「GoCiklo」の名は、GoCimoの旧社名です。

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画像: - YouTube youtu.be

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ホンダとGoCimoの実証実験の場が、スウェーデンで3番目に人口が多いマルメで行われるのは、すでにGoCimoのサービスが提供させているエリアを避けてのことなのでしょう。なおホンダとGoCimoは、今回の実証実験をとおして、欧州市場における長期的なパートナーシップの可能性も含めて検討を開始するとのことです。

画像: ホンダとGoCimoの共同実証実験で使用されるのは、日本でも販売されている原付一種クラスの電動スクーター「EM1 e:」です(写真は欧州仕様です)。 global.honda

ホンダとGoCimoの共同実証実験で使用されるのは、日本でも販売されている原付一種クラスの電動スクーター「EM1 e:」です(写真は欧州仕様です)。

global.honda

同じコンソーシアム仲間なので、大げんかになることはないということで?

バッテリー交換ステーション事情ヲタク? の方であれば、上掲のGoCimoの写真とYouTube動画に映るステーションを見てオヨヨ!! と思うかもしれません? ステーションの筐体と中におさまる交換式バッテリーのそれぞれの形が示すとおり、GoCimoがストックホルムとヨーテボリで展開しているサービスは、台湾のキムコが展開するバッテリー交換サービスシステムであるアイオネックスがベースなのです。

画像: キムコのアイオネックスは、台湾でGogoro勢と激しいバッテリー交換サービス網競争を繰り広げています。なお現在の、台湾での設置済み交換ステーションの数は、2,891に達しています。 www.ionex.com.tw

キムコのアイオネックスは、台湾でGogoro勢と激しいバッテリー交換サービス網競争を繰り広げています。なお現在の、台湾での設置済み交換ステーションの数は、2,891に達しています。

www.ionex.com.tw

ホンダは、すでにパートナーを組んでいるGoCimoとアイオネックスの間に割って入ったというかっこうなのですが、当然ながらホンダ、GoCImo双方のリリースともに、アイオネックスについてのことは1つも記されてはおりません。

画像: ホンダのバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:(パワーパックエクスチェンジャーイー)」。Gogoro陣営やアイオネックス陣営と同じように、様々な設置場所に対応するためホンダは複数サイズの交換ステーションを用意しています。 global.honda

ホンダのバッテリー交換ステーション「Honda Power Pack Exchanger e:(パワーパックエクスチェンジャーイー)」。Gogoro陣営やアイオネックス陣営と同じように、様々な設置場所に対応するためホンダは複数サイズの交換ステーションを用意しています。

global.honda

なおホンダ、キムコ、GoCimoはいずれも、2輪用交換式バッテリーのグローバルおよび欧州での「標準化」を目的に誕生したコンソーシアムである、SBMC(スワッパブル バッテリー モーターサイクル コンソーシアム)の構成メンバーです。

SBMCの標準化バッテリーの仕様が決まらない限り、構成メンバーがそれぞれのビジネスに邁進するのはOK・・・ということで、GoCimoがキムコと組むのも、ホンダと組むのも、それはそれで恨みっこなしということなのでしょうね。

まだ電動スクーターの交換式バッテリーサービスが世界の隅々までには行き届いていないので、このような各企業の縄張り争い的なことは今後も起きるでしょう。普及の加速と、ユーザーの利益を考えると、早いところ「標準化」が果たされるべきですけど、各企業の「目の前」の利潤追求を止めることは、自由主義経済の世界では難しいです・・・。なんてことを考えさせられた、今回のニュースでした。

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