利便性は、オリジナルのU-GOよりも下がっているかも・・・?
多くのメディアで既報ですが、東京モーターサイクルショーのホンダブースのなかでEM1 e:はそこそこ大きなスペースを用いて展示されていました。回転式のステージの上だけでなく、跨ってスロットルグリップをひねることができる展示車も用意されており、それを試そうとする人の列ができていました。
これまた既報済みの話ですが、このEM1 e:は中国の五羊ホンダが製造販売しているU-GOという電動スクーターをベースにしています。写真を見比べるとわかるように、ぱっと見ではどちらがEM1 e:でどちらがU-GOか見分けられない人も多いのではないでしょうか?
大雑把な物言いではありますが、EM1 e:はU-GOをベースに、昨秋からサービスを開始した交換式バッテリーステーション網「Gachaco(ガチャコ)」にも取り入れられた、ホンダの「Honda Mobile Power Pack e:」(以下HMPPe:)と、交換機である「Honda Power Pack Exchanger e:」(以下HPPEe:)に対応できるもの・・・にしたバージョンといえます。
EM1 e:が50.26V/26.1Ahのバッテリー(HMPPe:)をシート下スペースに1つ搭載するのに対し、U-GOは異なる規格の48V/30Ahのバッテリーを、ライダーが足を置くフロアの下に格納する方式になっています。現行のICE(内燃機関)搭載スクーターの多くが、フロア側に燃料タンクを配置することで、シート下をヘルメットなどを収納するスペースにするのは、1980年代以降からずっと続くトレンドといえます。
U-GOはそれら既存のICE搭載スクーターに倣い、交換式バッテリーをフロア側収納にすることでシート下の収納スペースを確保することに成功しています。大容量のシート下収納スペースのありがたさは、この手のスクーターを使ったことがある方なら誰もが体験済みと思いますが、残念ながらEM1 e:はシート下収納スペースの恩恵に浴することはかないません・・・。
Gachacoの交換ステーション網を利用できるのはEM1 e:の大きな魅力ですが、シート下収納を使えるU-GOも魅力的に思えてしまいます。ちなみにU-GOは専用充電器を使うことで、プラグイン充電することも可能になっています。
ただ、バッテリーの交換のやりやすさ、扱いの簡単さを考えると、EM1 e:に軍配が上がるのではないかと予想されます。フロアのあたりまで屈んで、コネクターの抜き差しもしないといけないU-GOに対し、EM1 e:はそれほど大きく屈む必要はなく、コネクターのことを深く考えずに交換が可能です。老若男女、幅広い層が使うスクーターという乗り物の性格を考えると、バッテリーの交換をできるだけ楽にする・・・という方向性はアリかと思いますがいかがでしょう?
採用しているモーターは、定格出力1,200Wと思われます?
EM1 e:の詳細なスペックは明かされていませんが、U-GOのスペックを見ればどんな感じなのかは予想できます。U-GOにはモーター定格出力が1,200Wと、800Wの2仕様がラインアップされていますが、EM1 e:のモーターはおそらく1200W版だと思われます。
モーターサイクルショー会場にて、跨ってスロットルをひねれる方の展示車で試したところ、LCDのスピードメーターの表示は50km/hを超えました。U-GOの800W版の最高速は43km/hで、1,200w版のそれは53km/hと公表されています。この違いを考慮すると、EM1 e:は1,200Wのモーターなのでしょう。
会場にて説明員の方にお話を聞いたところ、EM1 e:は基本的にU-GOのHMPPe:対応版ではあるものの、バッテリー関連以外の部分も日本でいろいろと手直ししているとのこと。それらの手直しが必要なのは、中国に比べると厳しい日本の車両に関するレギュレーションに対処するためです。
すでに法人向けに販売されているPCX ELECTRIC、そしてジャイロ系やベンリィ系の電動スクーター同様、EM1 e:も日本で発売されたら国や東京都などの自治体の、EVに対する補助金の対象になるでしょう。ともあれ、できるだけお手頃な価格で登場してくれることを期待したいですね。