電動バイク市場は、2025年までに100億ユーロ≒1兆3,136億円!! まで成長する?
先月末、KTM、ハスクバーナ、ガスガスを所有するピーラー・モビリティは、ハスクバーナ・ブランドの新型電動バイクのプロトタイプ、イーピレン・コンセプトを公表しました。
同モデルはあくまで試作車ではありますが、すでに市場に投入されているビットピレンとスパルトピレンが、コンセプトモデルとして公表された時とさほど変化ない仕様で市販されたことを考えると、このイーピレン・コンセプトも大きく変わることなく、近いうちに市販されることになるのかもしれません・・・?
KTMグループを擁するピーラー・モビリティは、パートナー企業であるインドのバジャジとともに、電動バイクの世界戦略車を開発しています。具体的な計画の中身は、既存の内燃機搭載車=ICEVの50〜125ccにあたる4〜11キロワット≒5.36〜14.75馬力を発生する"48ボルトプラットフォーム"を生み出し、そのプラットフォームを使ってスクーターやモーターサイクルを製造販売するもの・・・です。
なおピーラー・モビリティは、今後2025年までにモーターサイクル/スクーター/自転車を含む広義の電動2輪車のマーケットは、100億ユーロ≒1兆3,136億円まで成長すると見込んでいるそうです。つまりイーピレン(電気の矢、の意)は、近い将来大きな商いとなる電動バイクのマーケットに向けての嚆矢(物事のはじめ、の意)と呼べるモデルでしょう。
交換可能なバッテリーは、"例"のコンソーシアムで規格化されたものになる?
ハスクバーナによると、イーピレンは100kmの走行レンジと4〜10キロワット≒5.36〜13.4馬力のモーターを搭載する予定とのことです。100kmというレンジは一般的なICEVの125cc車にはるかに及ばないものですが、航続距離の短さについては交換式のバッテリーを採用することでカバーすることを想定しているようです。
交換式バッテリー・・・というと、3月上旬に公表されたホンダ、ヤマハ、そしてKTMグループとピアッジオグループによる共通化バッテリーのコンソーシアム(共同事業体)の話題が想起されます。
上述のコンソーシアムより先に動いていた、日本の4メーカー・・・ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキのコンソーシアムが、去る3月26日に「電動二輪車用交換式バッテリーの共通仕様」に合意したことを公表していますが、この"日本規格"をKTMとピアッジオの2大欧州2輪グループが採用することになれば、世界的な"2輪車用共通交換式バッテリー"誕生のスケジュールは、案外早期に決まることになるのかもしれません。
航続距離を伸ばすために大きなバッテリーを搭載することは、車両重量をいたずらに増やすとともに、長い充電時間の煩わしさをユーザーに感じさせることになります。その点、交換式バッテリーを採用すれば、ICEVの燃料補給並みのスピードでバッテリーを交換することで航続距離の問題はほぼ解決でき、交換式バッテリーの適度な重さが車両の運動性を犠牲にすることもありません(もちろん、交換式バッテリーを扱うステーションなどのインフラ整備が大前提ですが)。
またイーピレンの車体まわりの設計は、次世代のKTMデューク125、250、390の各モデルにも流用される可能性があります。イーピレン(そして同じプラットフォームを持つE-デューク?)のEV版と、ICEV版のデュークの車体まわりを共通化し、インドで生産することはEV、ICEV双方のコストダウンに非常に有効です。
公式YouTubeチャンネルなどで明らかにされたイーピレン・コンセプトの姿が、ディティールまでわからせないよう薄暗い画面の中に登場するにとどまっているのは、次世代KTMデュークの姿をまだ公にしたくない・・・という理由からと考えるのは、そう見当違いの見込みではないかもしれないです?
ともあれ、ピーラー・モビリティの計画どおりに事が進めば、2022年には市販版のイーピレンを見ることができるわけです。そしてもしかしたら、2021年の世界のモーターサイクルショーで、量産試作のイーピレンを見ることができるかもしれません? 続報を楽しみに待ちたいです!